木天蓼色の猫、翡翠色に染まる フェリーンの弱点をご存知か?
1つは大き過ぎる音。彼らの耳は敏感で、傭兵内ではその耳の良さを活かして斥候にも選ばれる事は多い。
もう1つは、子供のフェリーンに多く見られる、本能的な水への恐怖心。大人になればある程度はその恐怖心が薄れるとはいえ、薄まらずにそのまま水恐怖症として残り続ける事がある。
そして最後に過去も現在も、恐らくこの先未来でも男女問わずフェリーン達の間で異常に、あるいは中毒的に、好まれているある植物から精製した茶色い粉末。その極めて少量であるにも関わらず、成人した男性フェリーンを瞬時に酩酊させ、発情期と見紛わない状態にさせる魅惑の存在。
「成分検査の結果、“マタタビ”と呼ばれる極東に幅広く植生を持つ落葉蔓性大本の植物から分泌されるネペタラクトールと言う化学物質が、マタタビに含まれる通常の濃度を1とした場合の値でおよそ230倍の濃度で君の身体から発生し、ガス状に気化し続けている事を確認した」
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