昨夜のバイトが大変だったため、授業中に居眠りをしてしまう実弥。すやすやと寝息を立てている実弥を教師が睨んでいることに気づいて、隣に座る義勇は手を伸ばして実弥の肩を揺すった。「不死川。起きろ、不死川」と小さな声で名前を呼ぶ。
すると実弥が薄らと目を開けて、もぞもぞと顔を上げた。「んー……」と、まだ眠たそうに声を漏らす実弥。義勇はもう一度「不死川」と呼ぶ。それに対して、実弥は「なぁんだよ」と柔らかい声音で答えて、藤色の瞳を細める。まるで愛しい相手を見つめるかのような眼差しを向けられて、義勇はぽぽぽぽと頬っぺたが熱くなった。
「し、不死川?」
「ん?なんで今さらそんな呼び方してんだよ。お前だって不死川だろォ」
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