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    kei_sousaku1

    @kei_sousaku1

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    kei_sousaku1

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    喧嘩編「いい加減教えろ」
    「何が…?」
    「お前の過去のことだ」
    「…」
    「お前は俺の過去を知ってる
    だからお前のも教えろ」
    「今はいいでしょ」
    「いつもそうやってはぐらかす…」
    「そんなことない」
    「隠しても無駄だぞ」
    「だから隠してないって」
    「俺だってお前のことちゃんと知りたい」
    「…今のままでも十分うまくいってるんだから
    いいじゃん別に」
    「俺だけ何も知らねぇ…!」
    「俺だって、俺だけってなんなんだよ!!
    お前に…ライトに何がわかる!!
    周りに人がいて見てもらえて構って貰えるライトに…!
    俺の何がわかるんだよ!!!!
    ほっといてくれ…!
    お前に俺の気持ちなんか分かりはしねぇんだよ…!」
    「!?
    お、お前がいつも辛そうだから…少しでも……」
    「……ハァそうやってすぐ泣く」
    「そ、そんなこと…!!」
    「もういいよ…」
    「…」

    そう言ってけいは家を出て行った
    部屋の中に残ったのは俺と静かな空間だった
    けいがずっと隠そうとしていたことは知っていた
    でもまさかこんなにも嫌がっているとは知らなかった
    いつも言葉巧みにかわして話そうとしないけいに
    俺は少しばかり嫌気がさしてしまった
    だから今日こそは聞こうと思ったのに…
    今までしたことのない最大の喧嘩
    けいが出て行ってから立ち尽くしていたが
    俺は崩れ落ちるように床に座った

    最初の嫌がった段階でやめていれば…
    でもあいつの…けいの過去が気になる…
    なんで教えてくれないんだ
    なんでなんでなんで…!!!!

    教えてくれない怒り
    嫌がっているのに聞こうとした己の情けなさ
    色々な感情が頭の中を駆け巡る
    俺はその感情を涙で流した

    一人残された部屋で俺は泣き喚いた…




    ライトと初めて喧嘩をした
    でもライトが悪いわけじゃない…悪いのは俺……
    自分の過去を話すのが怖くてずっと話せないでいたせいだ
    また俺が原因だ…
    なのになんで逆ギレして怒鳴って家を出てきてしまった
    今度こそ嫌われてた
    もう俺はライトの近くに居ない方がいい…
    ライトが不幸になるだけだ……
    過去…


    「弱ぇなw」

    「ホントにおんなじ業かよ…」

    「才能のないものは要らない」

    「お前なんてうちの一族に必要ない!」


    「「出ていけ!!」」


    頭の中に流れてくるのは昔の記憶

    「…ッ!!
    俺に過去なんてない!寂しくも辛くも苦しくもない…!
    今までだって一人で…一人で乗り越えてきたんだ…!!」

    自分に言い聞かせるように言った
    でも体は思い出していたあの時の記憶を…
    涙が目に溜まっていく
    喉が締め付けられ息も苦しい

    「…辛くなんかッ…ないッ
    前に戻るだけだ、一人に、もどるだけ……」

    …涙が溢れてしまっていることに俺は気づかなかった

    ライトの過去も辛かったはずだ…
    でも俺は自分の過去ほど嫌なことはない…
    もう思い出したくなかったのに…
    あんなクソみたいな過去…!





    けいが家を出て行ってから一週間…
    けいは一向に帰ってくる気配がなかった
    連絡を入れても反応はなし…
    元から寝ないし飯食わないしでただでさえ心配なのに
    もう姿をくらまし連絡が途絶えて一週間
    心配で仕方ない…
    落ち着かなく常にそわそわして大人しくしていられない

    「気分転換に散歩に行こ…」

    少しでもこの落ち着かない気持ちを抑えようと
    俺は家を出てある場所に向かった
    数十分なのか数時間なのか…
    感覚なんてものは今はない
    とりあえず歩き
    そして目的地に着く

    「…懐かしいな」

    目の前に広がる風景はまさにけいと初めて会ったあの襲われた場所だ
    少しでも紛らわしたくて来たのによりいっそう悲しくなってくる

    「…けい……」

    名前を呼んだその時

    バキッ

    後ろから何か枝でも踏んだ音がする
    泣きそうなところを見られてしまうと急いで目もとを擦る
    ここにいたら泣いてしまう…
    俺は早く帰ろうと振り返ったが
    振り返った先に見覚えある姿が俺の目に映った

    「…ッ!」
    「け、けい…」

    一週間ぶりに見る恋人の姿は酷く愛おしく見えた





    …勢いで出てきたもののなにもプランがない
    まぁ別に寝なくていいしいつも通り生活すればいいか
    何があってもいいように常にナイフは身に着けていたため
    俺はそれを使っていつも通り殺しをした

    「嫌…やめて…ッ!!」
    「命乞いとか興味ないからさよならッ」
    「キャーッ!!」
    「…」

    なんでだろう
    いつも通り殺しをしているのに何か足りない…
    何か感覚がおかしい
    激しい違和感に苛まれる、だがその正体はわからず
    俺はいつもの倍近く殺しまわった
    殺して殺して殺しまくった
    そして気が付いた時には俺は返り血まみれになっていた

    「あ…やべ……流石にやりすぎた…」

    周りを見渡せば死体がゴロゴロと転がっていた

    「運ぶのめんどくせぇな…死体処理電話しねぇと……」

    俺は自分のスマホを出し連絡しようとすれば
    ライトからの通知に気が付く
    その内容は俺の事を心配する内容だった

    「…あんな大喧嘩したのになんで俺の事なんて心配するんだよ
    もうほっといてくれ……」

    俺は静かにライトの連絡先を非公開にした

    「…もしもし?死体処理と服お願いしていいか??」
    『はーいいつものな了解』
    「後で住所送る」
    『はいはいじゃあまた後で』
    「ん」

    俺のお得意さんだ
    まぁ昔ようとかいうやつにも頼んでたが色々あってもう頼んでねぇな…
    あいつのこともできれば思い出したくはなかった……
    まぁ死体処理の奴が来るまでナイフの手入れでもして待とう

    そして30分もすればいつもの奴らが来て
    死体処理をしていった

    「今日はまた一段と暴れてんなw」
    「うるせぇ」
    「そうだな今回は…」
    「今日は金いらねぇ、さっさと回収してってくれ」
    「え、いいの?全然こっちとしては嬉しいけど…」
    「いいっていってんだろ」
    「わかった、了解
    じゃ、これ服またよろしくなけい」
    「ん」

    そう言っては帰っていった
    今日は少し殺しすぎた
    服を着替え元着ていた服をゴミ箱に捨てては俺は公園に向かった
    ベンチに寝そべり空を見ては喧嘩の事を思い出す

    『俺だってお前のことちゃんと知りたい…!』

    …俺の過去
    知ったところで何になる
    弱い俺がひいきされてた過去を知って何になる
    そんなことを考え始めたらもう終わりだ
    涙が簡単に溢れそうになる
    目元を強く擦っては大きくため息をつく

    「…また愛されないのか、俺は……」

    自分のせいなのに
    自分がいけないのに

    「ハッ…自業自得なのにな……w」

    自分で自分が笑えてくる
    情けなすぎて…

    「ハァ……」

    眠りついて忘れてしまいたい…
    眠れない体にそんなことできるわけもなく
    俺は目を閉じてただただ自分に怒りを感じていた…


    そしてそんな生活を俺は一週間続けていた
    まぁ少し昔の生活に戻っただけだから特に苦ではない
    でもやっぱり心に穴が開いたような何かが足りない

    俺は自然と体が動きある思い出の場所に向かっていた
    目的地に近づけば近づくほど心が締め付けられる
    そして数十分…
    俺は目的地についた

    でもそこは先客がいた

    まさにあの頃を思い出すように俺の恋人はそこに立っていた
    後ずさりをすればまた運が悪く俺は足元にあった枝を踏んでしまった
    その音に気付いたかのようにこちらを向いてくる

    そうそこには一週間ぶりに会うライトの姿があったのだ




    心配で不安でたまらなかった
    目の前にいるけいの姿をみて、俺は我慢していた涙が溢れ出た
    喧嘩をして一週間ぶりのけい
    俺がボロボロと泣き始めれば慌てたように近づいてきてくれた

    「ウ"、ヒグッ…けい”…!!」
    「……」

    けいはまだ俺の事を許してくれてないみたいだった
    暗い顔をし近づいてきてくれていたがいつもより距離を感じた
    それが寂しくて悲しくて
    また涙が溢れる
    でもせっかく会えたんだ
    このままは嫌だ
    俺は泣きながらも振り絞って声を出した

    「俺ッ…けいが嫌って分かってて…ッ問い詰めた
    自分が、知らないのが嫌ッ…てだけで昔の傷えぐった…ごめん…ごめんッ」
    「…」

    溢れる涙を必死に拭きながら
    出ない声を必死に振り絞りながら
    俺はけいに謝った
    目の前にいるけいは反応をしなかった…
    あぁ、もう駄目なのか……

    そう思った時
    何かにふわっと包まれた
    涙で見えない目で一生懸命見ようとすれば
    けいに抱き着かれていることが分かった
    そしてけいは静かに言った

    「…俺こそ、ごめん」
    「!?」

    その一言が聞けただけで十分すぎた
    涙は止まることを知らなかった

    「ライトは…悪くない……
    俺が早く、話さなかったのが悪いから…
    ホントにごめん…ライト…」
    「けいは悪くない…!だって俺がッ…俺が、無理に…聞いたから…!
    もう、過去のこと知りたいなんて言わないから、せめて離れてかないでくれ…!!」
    「……いいよもう
    それに過去のことはもう話す」
    「…!
    で、でも!!」
    「いいよ、どうせいつかはバレるし…
    それにバレるくらいなら自分の口でいいたい…」

    少し離れて顔を合わせればけいは悲しそうな辛そうな顔をしていた
    俺はけいの両頬を自分の両手で覆い目を見ていった

    「ん…ッ」
    「……そんな顔しないでくれ…
    どんな過去でも俺はお前を捨てたり見捨てたりしないから…」
    「……落ち着いたら俺の実家っていうか一族の家で話しよ…?
    この時間なら誰もいないから」
    「…」コクリッ
    「包み隠さずしっかり話すから…」

    そう言ってけいは俺が落ち着くまで待ってくれた
    聞きたかった過去の話が聞けるのに
    少し心がモヤモヤする…

    けい

    お前の過去は…

    どんなんだったんだ…?
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