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    jusimatsu

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    jusimatsu

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    デアアイワンドロ お題「お酒」
    当然のように騎空団入りしてるデアアイ。
    ワンライなのでノー推敲です。

    ――――――――――――――――

    ##デアアイ

    デアンとアイザックを含む騎空団の面々は、依頼後の宴から帰るところだった。
    依頼内容は魔物の討伐。強さは大したことがないが数が多い上に、種族もバラバラなため独自の縄張りまで形成しており、自警団では手に余るとのことだった。
    長期戦になることを覚悟していたが、偶然優秀な騎空団を引き当てたために早期解決となり、喜んだ依頼主が依頼料に加えて町の特産品の酒を大盤振る舞いしてくれたのだ。

    「いや~、あのお酒、本当においしかったねえ。しかもお土産にまでもらえるなんてラッキーだよ」
    「そうだな」

    アイザックが酒の味について話すのはこの帰り道の間だけですでに6回目だが、酒による思考能力の低下を知ったデアンは黙っていることにした。

    「お前は酒に弱いと思っていたのだが、空の民はみなこうなのだな」
    「だから言ったじゃないか。僕は人並みに飲めるほうだって。グラスに半分の量で寝落ちたりしないだけ、まだマシな方なんだよ」

    料理も酒も十分な量を楽しんだアイザックは、それでも自らの足できちんと歩いていた。
    あまりに弱いとアイザックの言った通り少量で酔いつぶれたり、最悪の場合は一舐めしただけで具合が悪くなるものもいるという。

    一方のデアンはアルコールが体内に入った自覚はあるものの、体調に何の変化も見られなかった。
    どれだけ飲んでも顔色一つ変えずにいるので面白がった町の男たちにどんどん飲まされ、なぜかしまいにはその男たちとの飲み比べ勝負になり、10人ほどを酔いつぶしたところでデアンが胃の容量の限度いっぱいに近くなったことを告げて終了となった。
    そこまで飲んでなお顔色は変わらず言葉も明瞭だったため、負けそうになった咄嗟の嘘だと思うものは一人もいなかった。

    「君が彼らからなかなか放してもらえなかったのは寂しかったけど、飲み比べにどんどん勝ってくデアンを見ながら飲むお酒も楽しかったなあ」

    ここに相棒がいたら妙な飲み方だと呆れられちゃうな、と笑う。ここで言う相棒とは当然レイベリィのことだ。アルコールを摂取することのない彼は、この場にいても至極冷静でいただろう。

    「ねえデアン、今の僕は身体能力が落ちていたり、判断能力が鈍っていると思うかい?」
    「ああ」
    「それじゃあ、平時においてこの状態がなにか重大な失敗をしそうには?」
    「それはないだろう。バイタルの乱れは許容範囲だ。突然体調を崩す可能性も、記憶が欠落する可能性も極めて低い」
    「ははは、君には全部バレちゃうなあ」

    アイザックは隣に歩くデアンとの距離を縮める。今は友人の距離から付き合いの長い友人か、あるいは恋人一歩手前の近さだ。
    二人はすでに恋人同士なのだから密着していても問題はないのだが、人通りの多い道でそうするほど羞恥心は麻痺していない。

    「気になる相手と近づきたい時にはね、ひどく酔ったふりをしてもたれかかったり、心配させて家や宿に送らせたりって手を使う人もいるんだ。僕たちの間では絶対に使えないやり方だね」
    「親切シン、というものにつけ込むやり口か」
    「身も蓋もない言い方をすればそうだね。中には本当にそういうよくない手段を取る人もいるけど、大体はあくまで積極的にふるまうための言い訳で、相手も泥酔していないのをわかって乗ってあげるんだよ」

    それからも二人はたわいないやり取りをしながらホームである騎空挺に向かっていく。その間にアイザックが酒の味を思い出して話題にした回数は8回に増えた。
    だんだん店が減り、明かりがついている家も減り、辺りの明かりは停められている騎空挺たちと防犯用の街灯くらいになっている。空の星のほうが明るいような気までしてくるほどだ。
    前を歩くのは騎空団の仲間たち。アイザックはわざと彼らより少し後ろを歩いていた。

    「ねえデアン。僕、酔っちゃったみたいだ」

    アイザックがデアンの手に自信の指を絡ませた。顔を見れば、キスをするときによくする表情になっている。

    デアン・クラックはこの日初めて、他人の嘘にわざと騙されるということを覚えた。
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