ゾ誕202211月11日。
それは俺にとって大切な日。
世間では魔獣だなんだと言われ恐れられているが俺にとっては可愛くて愛しい恋人。
ロロノア・ゾロ。その人の誕生日である。
そう!俺の可愛い恋人の誕生日なんだ。
その場合、俺が1番ゾロの傍で誰よりも祝う権利を持っている筈だ。
しかし、どうだ実際は。
俺は目の前でゾロが年長者組に甘やかされ年少組に祝われ嬉しそうに笑っているのを見ているのだ。
そりゃゾロが幸せであるならそれは俺にとっても幸せな事だ。
ただ、ゾロを幸せにする役目は俺だけで有れば良いのにと思ってしまう。
あのバラバラになった2年の分まで祝ってやりたい。
「1番に『おめでとう』って言ったの俺だし」
恨み言の様に呟いた。
確かに俺は日付が変わると同時に伝えたがその頃にはゾロは俺の下でトロトロになっていたので正しく認識していたかは定かではない。
もし認識されていなかったら俺は恋人の誕生日すら祝ってやれない最低な男と言う事になるのではないだろうか。
流石にそれで愛想を尽かされる事にはならないだろうがゾロの中での評価が落ちたら或いは・・・
最悪の事態まで想像して血の気が引いた。
シンクに手を付いて崩れそうになる体を支える。
「ゾ」
ゾロの名を呼ぼうとして振り向けば目の前にゾロ。
「!?」
ビックリした可愛い顔をしている。
「何1人で変な顔してんだよ」
「あ、いや・・・・えっと・・・?」
なんと言えば良いだろう。
「あ、れ・・・?皆は?」
既に食堂には俺とゾロだけ。
「あ~えっと・・・気をきかせてくれた・・・・?」
ゾロは真っ赤な顔でチラリと俺を見た。
あぁ。成程。
俺はゾロをそっと抱きしめた。
初めゾロはモゾモゾと俺の腕の中から出て行こうとしたがやがて安心したみたいに力を抜いて頭を俺の肩に擦り寄せて来た。
それからそっと背中に回る腕。
俺はギュッと抱きしめる。
「ゾロ、生まれて来てくれて俺と出会ってくれてありがとう」
愛しさが溢れた。
「なぁ、今日は我儘沢山言ってくれよ。俺だってお前を甘やかしてぇ」
ゾロの耳元で囁けば抱きしめた体の体温が上がる。
暫く待ってみたが何も言わないゾロ。
「なぁ、言って。何でも叶えてやるから。」
ゾロの頬を両手で包み込み額、鼻先、両頬、唇。
顔中にキスの雨を降らせその時を待った。
すると更に真っ赤になった顔を隠す様にゾロは俺の胸元に顔を押し付け
「・・・・なら、もうちょっとこうしてろ」
消え入りそうな声が聞こえて
「勿論。」
そう答えてゾロを姫抱きにした。
「ちょ!?」
椅子まで移動。
驚いていたゾロを膝の上に乗せ
「これなら何時間でも引っ付いてられるな」
と笑った。
「!!な、何時間もは・・・・ダメ、だろ・・・・」
「ん?本当にダメ?」
真っ赤な顔を見れば答えが分かるのに聞いた。
「~~~分かってるなら聞くな!!」
そう言ってゾロが体当たりするみたいに抱き付いて来て笑った。
~END~