会番 ワンライ『2回目のキス』「……お疲れ様です」
部室のドアを何の気無しに開ける。
特に誰かと約束をしたわけではなかったが、今日はいつもよりも遅くなってしまった。
普段ならゲーム音や話し声が聞こえる室内は今日は静かで、誰もいないのかと思った。
(……会長さん……寝てる……)
窓から光が入る位置で暖を取りながら、机の上に腕を組んで眠る加賀美がいた。
横を向いていたから寝顔が見える。
起きていればコロコロと表情が変わるのに、眠っているとあどけなくて、純粋に可愛らしいと思った。
起こしてしまうのが申し訳なく思う気持ち半分、ゆっくり寝顔を見ていたかった気持ち半分で、音を立てないように気をつけて、番井は隣に座ることにした。
静かな時間だった。
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