Melt like Chocolate「よし、できた…!」
チョコレートを詰めた小さな箱に赤いリボンでラッピングをかける。
もうすぐバレンタインだなという話になった時、監督生から「自分の世界のバレンタインは好きな人にチョコレートを贈るんだ」と教えてもらった。僕もエースも付き合っているとはいえ、男子校だしただその日が過ぎるだけだと思っていただけに目を見合せた。話している時は興味無さそうにしていたくせに、寮までの帰り道で「デュースくんからのチョコ、ほしいな〜」なんてわざとらしく肩を組んで耳元で言われてしまったら、ふざけた言い方をしていても甘い声に誘われて頷くしかなかった。
そして明日をバレンタインに控えた今日、オンボロ寮のキッチンを借りてエースの為だけにトリュフを作って、今完成したところ。元々簡単なレシピだけれどマスターシェフのおかげでなかなかよくできていると思う。クローバー先輩に敵う味ではないにしろ、愛情はたっぷり込めたつもりだからきっと喜んでくれるはずだ。
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