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    buster_shimizu

    ずーたろうです

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    buster_shimizu

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    ずたろ(作者)の家のいちぬいのお話しです。
    ぬい主の名前とかいっぱい出てくるので、苦手な方はご遠慮ください。

    ぬいの名前はカブちゃんですぬ! はじめまして、ぬいはずたろの家のいちぬいですぬ。ずたろのぬいまま友達さん達には「カブちゃん」って呼ばれていますぬ。どうしてカブちゃんって呼ばれてるかって言うと、ぬいはいつもずたろ特製のちょっと変な形のくまさんのお帽子被ってるぬ。
     ずたろがサマイチの同人イベントってやつに参加した帰りに、ぬいまま友達さん達と一緒にご飯に行ったんだぬ。その時にいたさまぬいさんに「でっけー歌舞伎揚」って言われたのがきっかけですぬ。

    「ぬい、歌舞伎揚げじゃないぬ!!!」

     ずっとぬいは否定してたけど、ぬいの愛称は「カブちゃん」になってて、気づいた時にはもう手遅れだったぬ。もうぬいはカブちゃんであることを否定するのを辞めたぬ。
     そんなでっかい心の持ち主であるぬいにも許せない事があるぬ。それはずたろがぬいの楽しみにしているイベントをすぐ忘れちゃうんだぬ!バレンタイン、ハロウィンにクリスマス。美味しいお菓子が食べられる日をいつもぜんぶ綺麗に忘れてるんだぬ!
     
     去年のバレンタインなんてチョコレートじゃなくて、メロンパンを買ってきたぬ。さすがのぬいも怒りが頂点に達して柄にもなく「チョコレートが食べたいぬ!!」って泣き喚いたぬ。ぬいの旦那さまのさまぬに「まあまあ落ち着け」って頭をぽんぽんされてなかったら、ぬいは怒りの余りどうなってたかわからないぬ。
     ずたろにはさまぬに感謝してほしいぬ。

     そして更に許せないのが、だいたいがイベントの次の日に、思い出したようにお菓子をくれるぬ。しかもなんの悪びれもなく、さも当たり前かのような顔をしてるぬ!
     これを読んでるぬいままさん、ずたろはあまりにもぬいままとしての意識が低すぎると思いませんかぬ!?普通は何日も前からリサーチして、当日には写真をアップするのがぬいままの役目だと思うぬ。ずたろはぬいままのしての意識が低すぎると思いますぬ!
     
     あぁ、ぬいは憐れなぬいですぬ。ぬいのお友達のぬいたちは、いつも美味しそうなケーキやお菓子を食べてるぬ。なのになのに…

     ぬいは家出してやるぬ!!!!

     ずたろはいまはお仕事でお家にいないし、さまぬはお昼寝してるぬ。家出するには恰好のチャンス到来ですぬ。ぬいはずたろに買ってもらった、お気に入りのサロペットにくまさんのリュックを背負って、真っ赤な靴を履いたら出かける準備完了ぬ。
     
    「ぬいのことは探さないでくださいぬ」

     そう一言だけ書き置きを残してぬいはずたろのお家を飛び出したぬ。まだ見ぬ素敵なぬいままさんにぬいは可愛がって貰うんだぬ!いいぬいままさんだったらさまぬも呼んで、ふたぬいで移住するぬ。そうぬ、それがいいぬ。さまぬ待っててほしいぬ、ぬい、素敵なぬいまま探しの旅に出てくるぬ!!
     

     ぬいには重すぎる扉を、うんしょこらしょ言いながら開けると、そこは見た事がない世界が広がってたぬ。
     あれ?ぬいはいまずたろの家の扉を開けたはずぬ。扉を出てすぐの階段も、いつもマンションの前にいる黒猫さんもいないぬ。目の前に広がっているのはぬいの見たことない場所だったぬ。
     
    「ぬっ…ここどこぬ…?」
     
     顔をあげると目の前にはたくさんのニンゲンの足と青い海広がってたぬ。どこから流れてきてるのかわからないけど、風に乗って変な匂いがしてすごく不愉快ぬ。
     実はちょっと恥ずかしいけどぬいは海が苦手ぬ。なんでか教えてほしいぬ?それは、ずたろのサマイチ本をこっそり読んだ時に、悪いことをしたヤツを左馬刻が海に沈めてたぬ。その時の左馬刻の顔が怖かったんだぬ。

    「ぬい怖いぬ、おうち帰るぬ……」

     さまぬの為にいいぬいままさんを見つけようと思ったけど、こんな怖いところには居られないぬ。ぬいは振り返ってずたろの家の扉を開けようとしたぬ。

    「ぬっ!?扉がないぬ、なんでぬ!?」

     さっき出てきたはずのずたろの家の扉が綺麗さっぱり無くなってるぬ。右を見ても、左を見ても目に映るのは知らぬい風景ばっかりぬ。ぬいは小さい足を動かして走ってみたけど、どこにも扉は見当たらないぬ。ぬいは心細くなってリュックをぎゅっと握りしめたぬ。
     ぬいひとりぼっちになっちゃったぬ…?そんなのいやぬ、おうちに帰りたいぬ。お菓子もケーキも我慢するぬ、だからお迎えにきてほしいぬ…。

    「ぬっ…ぬああああああん」

     ぬいは目からぽろぽろ落ちる綿を止める事が出来なかったぬ。
     
    「ん?なんだこの小さいの…」

     いきなりなんだぬ!?突然ぬいのくまさん帽子を大きい手で鷲掴みにされて、高いところまで持ち上げられたぬ。ぬいのお靴はすぐに脱げちゃうから、頭は持っちゃダメぬ!誰ぬ、ぬいの扱いを知らない素人のニンゲンは。

    「一郎の…ぬいぐるみ…?」

     ぬいの事を持ち上げたのはなんと左馬刻だったぬ。実在の人物だと思ってなかったから、ぬいすっごく驚いたぬ。本物の左馬刻も漫画みたいに睫毛がバサバサで長いぬ!
     
    「左馬刻、はなすぬ!」
    「…生意気なのはぬいぐるみでも変わらねえのかよ。おいこらちびろう、俺様は左馬刻『さん』だ覚えとけ」
    「やッぬ〜!!」
    「ふっ…ちっこい手足バタつかせてご苦労なこった…」
    「ぬ、ぬいのこと見て笑ったぬ!?もしかしてバカにしてるぬ!?」
    「ふっ…ふふ…んなことねえ…よ…」

     じたばたじたばたとしているぬいを見ながら、左馬刻は手で口元を隠してるつもりかもしれないけど、全然見えてるぬ。笑ってるぬ!その心笑ってるぬ、全然隠せてないぬ!
     ぬい怒ったぬ、そんなにぬいのこと笑わなくてもいいと思うぬ…。ぬ、ぬぬぬぬ…。

    「あ、おいこら、もう笑わないから泣くな…」
    「ぬぅ…ッ………」
    「…泣くなって言ってんだろ」

     驚きの余りに止まったと思ったわたが、またぽろぽろと流れ出したぬ。怒りと悔しさと悲しさでぬいどうにかなってしまいそうぬ。そんなぬいのことを見ながら、左馬刻が細長い指先で丁寧にわたを拭いてくれたぬ。でもぬい許せないぬ。

    「左馬刻、ぬいのこと離すぬ」
    「は?こんなチビひとりでどこ行こうってんだ」
    「ぬいチビじゃないぬ、ぬいおうち帰るぬ」
    「…家まで送ってやるから教えろ」
    「結構ですぬ」
    「笑ってわるかった、な?俺様も心配なんだよ」
    「ぬいのおうちどこかわからないぬ…」
    「…捨てられたんか?」
    「違うぬ、ぬいはずたろに嫌気がさして家出したんだぬ。でももう帰りたいぬ。でもおうちがわからないんだぬ…ぬぅ……」
    「…ほら泣くな。一旦俺様の家に行くぞ」
     
     左馬刻の家ぬ!?ずたろの持ってたサマイチ小説では、左馬刻はヨコハマのタワマンの最上階に住んでるって書いてたぬ。もしかして、もしかして…

    「左馬刻の家はタワマンの最上階ぬ?」
    「…なんで知ってんだ」

     やっぱりそうだったぬ!左馬刻はタワマンの最上階に住んでるぬ!

    「ぬい、左馬刻のおうちに行きますぬ!!」

     そう返事をすると、さっきまでぬいの頭を持ってた左馬刻が、両手の上に乗せてくれたぬ。案外乗り心地は悪くないぬ。さあ、左馬刻のおうちにレッツゴーぬ!!

     to be continued
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