「二限どこでやるんだったかなぁ……ん?」
スマホで次の講義の予定を確認しながら校内を歩いていた零二はふと、視界の端に何か白い物体が映ったような気がしてそちらへと目を向ける。
するとそこには──
「え、うわ、人が落ちてる」
恐らく同じ大学生であろう、白衣を着た男性が床に倒れていた。
その身体には目立った外傷はないものの、意識を失っているのかピクリとも動かない。
(……どうしよう?)
一瞬考えた後、零二は周囲を見回した。
廊下を歩いている生徒達の中には彼に気付いている者もいるようだが、見て見ぬフリをしているらしく誰も助けようとしない。
(放っておいちゃマズイよね)
見ず知らずの相手だが、このまま放置するわけにもいかないだろうと考えた零二は足早に駆け寄るとその男を助け起こす。
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