glasses 早朝からの空厳寺での修行が終わり、夕方のバイトまで少し時間が空いた十四は当てもなく街中を歩いていた。
CDショップや、行きつけのアパレルショップに寄ってはみるもののあまり気分が乗らず店内をふらっと一周してすぐに出る、というのを繰り返す。
一旦家に帰ってもいいが、往復の時間を考えると少しバタつきそうだ。できればもう少しこの辺でどこかで少し時間を潰したい。
そうなると頭にまず浮かぶ場所は――
「ひっとやさーん! 遊びに来たっすー!」
ノックをして一面磨りガラスのドアが開かれるまでの間隔はほとんどなかった。
「……十四、ここは遊びに来る場所じゃねぇっていつになったら覚えンだ!! 何度も言わせんな!!」
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