きっかけは突然だった。久しぶりに入った大きな依頼をようやく片付け、これで暫くはゆっくり眠れるしヴォックスとも落ち着いて過ごせるな、なんて微睡んでいる時に、あのデカい、無駄にいい声で俺のとっておいた酒をどこへやったんだなどと酔っぱらった勢いで部屋に飛び込んできたことだった。ここ数ヵ月の不眠からやっとおさらばできそうだ、とその声の主の枕に顔をうずめた時だったのに。
確かに疲れた足を引きずって帰ってきて、冷蔵庫にたまたま残ってた美味そうな酒をよく確認もせずに飲んだ俺も悪かったけど。
最高にイライラしているのを噛みしめ、「悪かったな!!!!!でもこの前ヴォックスも俺が帰ってきてから食べようと思ってた限定のアイス、酔っぱらって食っちゃったじゃん!あれまじで手に入らないんだぞ!!!!!おあいこだろ」
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