龍ノ国の双子の王─第2.5話ぼうっと物思いに耽っていたら、突如背後からドカン!という音と共に砂埃が舞い散った
普段ならこういうことは起こらないし、双翼帝が俺を見張っているのに……何故か知らないが今宵は双翼帝のどちらも俺の傍にはいなかったのだ
「……ったく、あいつ……なんでこんな雑に放り出すんだ…いった……」
「!?……あ、あの、大丈夫ですか…?」
「ん、あぁ……大丈夫だ、ありがとう…君が、イツキだな」
「えっ!?は、はい……あの、あなたは一体…」
「あぁ、そうだな……初めまして龍ノ愛し子・イツキ。オレはアンブロシア、あの夜空の星と同じ存在だ。君の手助けをするためにここまで来た……平和的にここから脱出したいだろう?」
「……夜空の、星?」
夜空の星、アンブロシア……
確かに、俺が願いを掛けている星の名前もアンブロシア……のはずだ、記憶が薄れているけれど。ただ、アンブロシアは夜空に輝くお星様であって、男性ではないはずなのだけれども……
でも、目の前にいる男性……優しい茶色の髪に緑の瞳の、宵闇のような紫色のローブを被った男性は確かにアンブロシアと名乗ったのだ……もしかして、魔術師かなにかだったりするのかなぁ