(蛍 視点)またいつか会うその日まで探していた兄が世界を脅かす存在の頭領となっていた。
再会したのも束の間、兄は去ってしまった。
『天理との闘いが迫っている。』
『旅の終点にたどり着けば、お前もこの世界の淀みを理解するはず。』
『旅の終点でまた会おう、蛍。』
ショックは大きかった。
だがそれと同時に、空が心配になった。
空は優しい。どんな人にも…特に私に対して気を配ってくれる。それも程よい距離感で。
冒険が好きなのは私と同じだ。でも無下に人や動物を傷つけたりすることは好まない。
ただ優しいだけじゃない。決断を迫られれば、それはそれで分別つけてきちんとつける。
だからこそ心配なのだ。祖国の復興への気持ちは私も同じ。だけど、どこか無理してるように見えた。
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