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    ハンムラビ

    某文明の王様してました。駆け込み乗車は良くないです。

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    ハンムラビ

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    ロークとマキナです
    くしゃみでそう電車にだいぶしよう

    邂逅「今日も見てる…」
    マキナは今日も一人、教会の公園にいた。誰もいない茜色に染まった場所に、ぽつりと。
    その人は窓からいつも覗いている。私と目が合うとその人は目をそらすし、私が目を逸らすとその人はまた見つめてくる。いつも、その繰り返し。
    その人は背が高くて、淡い青紫みたいな色の髪を結んであって、窓から見ても分かるぐらいにいつも私のことを見てくる。でも、私は、あの人のことを知らない。
    「あの人のおうち、行ってみよう」
    表せないくらいの恐怖心があった。でも、見てるとなぜか落ち着く。だったらもう、会いに行くしかないなって、そう私は感じた。
    「好奇心は猫を殺す」って言葉があった。だがそれでもいい。だって、私はひとりぼっちでも大丈夫だから、ね!
    そして、教会から出ようとした。そしたらなんと、その人が目の前にいた。
    「えっと…あの…そ、その…」
    「いつも思ってるけど、考えすぎなんだよ、マキナは」
    「え、んえ…?」
    私はこの人のことを本当に知らない。なんで名前を知っているのかが分からなかった。
    「あ、あの…なんでいつもみているんですか…?」
    「さあ」
    少しの沈黙のあと、出た言葉がそれだった。やっぱり、怖い。大きいし見下ろされてるし、名前をいわれたからなのかな、怖かった。
    「ご、ごめんなさい!」
    マキナは走り出した。後ろを振り向かず。何かをあの人は叫んでいた。その声すら届かないくらい、逃げた。

    着いたところは私の家だった。もうきっと追いかけてこない、きっと、たぶん。なんで逃げたのか分からなかった。怖かったから?名前を知っていたから?今はそれすら考えたくない。私は、スマホを触ろうとした。
    「あれっ」
    いつもカバンに入っているはずだ。なんで、なんでないの?私はなにもかも分からなさすぎてぐちゃぐちゃになっていた。その時、呼び鈴がなった。「誰……?」
    怖い、あの人がいるかもしれない。そしたら、呼び鈴がまたなった。もう怖さはどうでもよかった。早く、鳴り止んで欲しかったから。すると、ドアをドンドンと叩く音がした。
    「おい、開けろ」
    あの男の人だ、怖かった、今開けたら私の身体はびりびりになっちゃうかな、怖い、怖い、いやだ。
    そうドアの前でわなわなと震えていると、ドアが開いてしまった。
    「鍵くらいかけろよ…っておまえ、なんで泣いているんだ…?」
    私は瞼から涙がぽつりぽつりと溢れていた。
    「な、なんでおうち、知ってるんですか…?」
    「さあ、知らないな」
    「つ、通報!通報しますよ!」
    「そのケータイは?」
    「そ、それは…」
    「はぁ…………」
    その人は大きなため息をついた。
    もう何が何だかさっぱりだった。
    「おまえのことだから、メシ食ってないだろ?」
    「え、あ…」
    「家上がんぞ」
    その人の力が強くて、私はなにも抵抗ができなかった。そして、その人は玄関のドアを開けて入っていった。
    「おじゃまします」
    「は、はあ…」
    「懐かしいな」
    なにもわからなかった。名前を言った覚えはない。状況がなにも飲み込めなかった。
    「そらっ」
    そういうと彼は私のスマホを投げてきた。私は慌ててキャッチした。
    「好きにしろ、俺はここを借りんぞ」
    そういうと彼は台所へと足を運んだ。


    「できたぞ」
    数十分かして、その人はそう言った。
    並んであったのはごはんと、味噌汁と…食べたことの無いものだった。
    「い、いただきます」
    「どうぞ」
    私はそれを食べた。わからなかったけど、たしかに感じたのは温かい味だった。そしてなぜか止まらなかった。気がつけば、私の目からは涙が溢れていた。
    「不味かったか?」
    「ちがいます…!なんか、懐かしくて」
    「……そうか」
    「お、お兄さんも食べないんですか?」
    「俺はいい、お前をみてればそれで……んっ」
    気がついたらその人に食べさせていた。なんでかわかんない、けど、そうした方がいいと考えてしまったから。
    「私だけ食べるのは不公平かなって、おもって……」
    「好きにしろ」
    私が彼へと食べさせると、もぐもぐと食べてくれた。きっと、嫌ではないはず、たぶん。そして、いつのまにか平らげてしまった。
    「ご馳走様でした…?」
    「あ?」
    私は食い気味に言葉を発した。それに気がついた彼は唖然としていた。だから続けた。
    「美味しかった!!!」
    「お粗末さま」

    それから、彼は洗い物を始めた。私がやると言ったけど、聞き入れてくれなかった。
    「あ、あの、」
    「なんだ」
    「その…な、名前!聞いてないから…教えて欲しくって…」
    彼を見ると、不意をつかれたのか、少し驚愕していた。
    少しの間の後、しぶしぶ、
    「ローク」
    と呟いた。ここ周辺では聞いた事のない名前だった。でもなぜか、分からないのに、懐古してしまった。
    「マキナです!」
    「知ってる」
    彼の顔を見るとなぜか、寂しそうな顔をしていた。思い出に浸っているのかは分からない、けど、それがなにか引っかかってしまった。

    「明日もきていいか?」
    「え?あ、いい、ですけど……」
    そしてロークさんは玄関へと足を運んだ。なんでかわからないけど、行かせたくなかった。なぜかはわからなかった。
    「じゃあ、また明日…ん」
    私は、いつの間にか抱きしめていた。
    「やっぱ、いかないで…ください、」
    「近いんだから、会えるだろ」
    「ちがっ…、ひとりが、こわくって、」
    ひとりぼっちは慣れていた。ここに住んでいるのは私だけだったから。でも、今日は嫌だった。このまま手放したら、パズルがばらばらになっちゃう、そんな気がしたから。
    「……そうか」
    そういうとロークさんは私を抱き寄せ、頭を撫でてくれた。
    「明日また来てメシ作るから、それまで我慢してろ」
    「う、ん」
    「明日は任務が終わったらすぐくる」
    「は、い、!」
    「じゃあ、またな」
    そういうとまた頭を撫で、帰ってしまった。私はその場に立ち尽くした。
    明日また会える、それだけで生きた心地しかなかった。明日が楽しみな私がそこにあった。
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