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    orionxisisu

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    うちよそCPレオガブ。ジューンブライドネタ第一弾。
    レオンとガブリエルが街中を散歩中にジューンブライド広告のモデルになってほしいと頼まれジューンブライド広告撮影をすることになりその撮影の中でガブリエルが『結婚』と『幸せ』について考える話。

    4つのブランコの話~レオガブ編~とある日、レオンとガブリエルは昼の街中を一緒に散歩していたところをとあるウェディング企業の社員に呼び止められ、なんとジューンブライド広告撮影のモデルになってほしいと頼み込まれたのだ。報酬はちゃんと相応のものをするとのことである。
    レオンはガブリエルが嫌じゃないなら受けると言った。そしてガブリエルは断る・・・と思いきや承諾した。承諾に喜ぶ社員。レオンは驚いていた。実はガブリエル自身も驚いていた。人間なんてましてや結婚とかいう文化なんてくだらないと思っていたはずだった。けど・・・今は『悪くない』と感じている。寧ろ『満更でもない』とも。人間の事は今もあまり好きではないはずだ。でも、何故今は満更でもないのだろうか。分からないけど何故かドキドキしている。
    そんなこんなでレオンとガブリエルはこうしてジューンブライド広告撮影の依頼を受ける事になったのであった。早速、二人は本社へ呼ばれて採寸され後日にはウェディング衣装が完成次第ジューンブライド広告撮影を行うのでその日まで待っててほしいと伝えられた。
    そしてその日はついに来た。
    ~~~~~
    ジューンブライド広告撮影当日・・・

    更衣室に入ると彼女の目に入ったのはトルソーに掛けられた変わったウェディング衣装だった。ウェディングドレス・・・と言えばそうなのだが少し違う。いつもガブリエルが着ている服の要素は残しつつウェディングのハレらしさがちゃんとある。ネックレスの代わりにスズランのような花の形をした飾りのついた首輪。胸元には黄色い4枚の花弁で彩られたオレンジの宝石のブローチがついておりそこから伸びたオレンジのリボンで上体部は引き締められている。腰にはオレンジのベルトリボンがつけられ後ろは大きなリボン留めがされその真ん中には胸元のブローチと同じ飾りがついている。スカート部分は別々に二重に別れ重なるようになっていてその内側は黄色い。袖は肘のところにベルトがついていて先端はスリーブが入っていた。
    あ、これはわたしらしいかなり好みのデザインだわ。ガブリエルはそう思っていた。

    「驚かれましたか?今わたしたちの会社は『自分らしいウェディング』というのがコンセプトのウェディング衣装の特注という新しいウェディングスタイルを目指してまして、これはその挑戦なのですよ。ささ、どうぞ着てください。きっとお似合いですよ」

    中にいた手伝いの人に勧められ手伝ってもらいながらガブリエルはそのウェディング衣装を纏った。
    鏡に映してみると、なるほどこれは確かに悪くないしいいかもと思った。つい見入っていたら、『これもどうぞ』と花びらの先が黄色く真ん中にオレンジの宝石がついたレースが少し垂らされた花の髪飾りも付けてもらった。
    靴のヒールをカツリと鳴らしてみる。オレンジの宝石がワンポイントでついた白がベースの黄色いヒールが印象的なハイヒール。こっちの方が自分らしくてガラスの靴より魅力的・・・かもしれない。

    「とてもお似合いですよ。ではこちらの方へどうぞ。あなたのお連れ様がお待ちしてます。撮影、お楽しみくださいね」

    撮影スタジオの入り口まで案内され、『いってらっしゃいませ』と見送られた。
    この撮影スタジオのある扉の先にはレオンが待っている。そう思うだけで顔が熱く感じ心音が高鳴るのは気のせいだろうか。


    撮影スタジオに入るとそこにはレオンが待っていた。レオンはタキシードをちゃんと綺麗に着こなしていてガブリエルは思わず見入ってしまった。彼はやはり貴族であるのだろう。服に着られている感がない。
    とてもかっこいいし彼のそんな姿を見られたのは嬉しい。今までそんな事感じた事なかったし初めてだった。

    入ってきたガブリエルに気づきレオンは微笑みながらこちらを向いた。
    「ガブリエル、とても似合ってるよ」
    そう言われてガブリエルは思わず顔を紅くしてしまった。なんだろう。レオンに褒められただけですごくドキドキする。それにただ照れてしまうだけじゃなくてふわふわした気持ちになってしまう。それこそ人間たちの言う『幸せ』ってやつかもしれない。
    どういう態度を取ればいいのか分からなくてガブリエルは、うんと素直に頷くしかなかった。

    「レオンも、その・・・似合ってるわよ」
    「そ、そうかな?ありがとう」
    レオンは頭を掻きながらはにかむ。
    その後、撮影の用意ができたとの事でスタッフに呼ばれジューンブライド広告撮影が始まった。プロポーズなワンシーンで撮ったり、二人で花束を持ってみたり、レオンにお姫様だっこというものをされたり・・・ガブリエルはどれも魅力的に感じて楽しかったしふわふわして心地いい気持ちだった。こんなの初めてだった。

    (これが『幸せ』ってやつなのかしら?)

    レオンにお姫様だっこされてるワンシーンでの撮影中、ガブリエルはふとレオンの顔を見た。彼も幸せそうで愛おし気な表情をしている。
    人間と、じゃなくて、彼と・・・レオンと結婚するなら悪くないかも。そう思った瞬間、ガブリエルはあっと気づいた。

    (そっか。わたし、人間としての結婚じゃなくて、レオンと結婚した毎日を過ごしたいんだわ。もしかしたら結婚を望む人間たちって唯一無二の大切だとあるいは大好きだから愛したいと思える存在だからこそ結婚したいっていう気持ちがあってしている者もいるのかもしれない)

    それならばこの『満更でもない』気持ちも納得がいく。そしてこのふわふわした心地いい気持ちも。

    (わたし、レオンが大好きなのね。本当はレオンとずっと過ごしていたい。叶う事ならレオンと結婚した毎日を過ごしていたい。彼となら、いい)

    レオンと一緒にいたい。そう感じている気持ちにガブリエルは気づいた。叶う事なら彼と結婚した毎日を過ごしたい。でも・・・自分は人間側ではなく、人間を滅ぼそうとするいわゆる敵対する側で。そんな自分は彼の心の中に巣食う虫になってないだろうか。でも、でも・・・

    (せめて今だけは、レオンとまだいたい。どうか、今はこの『わたしの幸せ』を味わわせて)

    ガブリエルはレオンとこうして過ごせるこのうえない幸せそしていつか終わる時がくるであろうせつなさ。幸せ、喜び、せつなさ、心の隅に残る寂しさ・・・それらが入り混じった想いでレオンを見た。泣きそうだったけど、なんとか堪えた。
    そして・・・時間はあっという間に経ち、ジューンブライド広告撮影は終わった。

    ~~~~~
    ジューンブライド広告撮影終了後・・・

    「お二人とも、撮影お疲れ様でした。ではこちらが報酬になります」
    スタジオを出て企業本部の玄関まで社員に送られそこで封筒を渡された。・・・かなりの、金額が入っているのが分かる厚みである。それこそ行こうと思えばちょっといいところへ旅行に1度くらいは行けるくらいの。一応そこまでしなくてもと二人は戸惑ったのだが相手はいえいえお礼ですからと言って強く出たので断り切れず受け取ったのだった。

    「撮影は楽しかったでしょうか?」
    「うん!とても楽しかったよ!こちらこそ楽しい時間をありがとう」
    「・・・ええ、とても、楽しかったわ」

    ガブリエルは噛みしめるように『楽しかった』と答えた。この気持ちに嘘はつけなかったから。
    レオンは少し驚いたものの幸せそうに微笑み返してくれた。

    「ああ、それと・・・せっかくなのでとてもよく取れたお写真をお付けしますよ。お二人ともとてもいい表情をなされたので」

    写真の入った大きな封筒を渡し、それではと社員はお辞儀をして去っていった。
    帰り道、レオンとガブリエルは何も話さなかった。でもレオンは無理に話しかけてこようとしなかった。いつもの気遣いで。ガブリエルはその方がありがたかった。もし今話そうとしたら何をどう言えばいいのか分からなかったから。でも、たまにはちょっとくらいと一言言ってみた。

    「・・・さっきのお金。一度くらいならどこか旅行に行くの考えても、いいわよ」
    「・・・うん、そうだね。君がいいなら行こうか」
    「ええ、そうね」

     (終わり)
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