『Liquor GIRLS NIGHT』「ちょ……っと、真純!」
「なんだよ、志保姉」
「どういうことなのよ、ボクと個人的に飲みに行こうって言ってたじゃない」
「1対1なんて一言も言ってないだろ」
「謀ったわね……!」
「なーにコソコソ話してんのよ、飲み物決まったの?」
「あ、じゃあボクはオレンジジュース」
「私はモスコー・ミュール……」
「オーケーオーケー。蘭は?」
「じゃあ私はピーチ・アイスティーにしようかな」
「蘭、ほんとそれ好きよね〜。おつまみは園子様に任せなさーい!すいませーん!」
園子が手元の銀のベルをターンと勢いよく叩けば、人の良さそうな若い女主人がにこにことしながら注文を取りに来た。
盛夏。時刻は17時半、杯戸町にて。
園子おすすめのカジュアルな小皿料理居酒屋。店内は木目調の家具で揃えられ、素朴な印象を受ける。切り盛りする女主人の趣味なのか、レトロな雑貨が多い。ピンクの公衆電話、ジュークボックス、壁に貼られた右向きから読むポスターなど。小皿の創作料理が家庭的で美味しく、お酒の種類も豊富。若女将と2人の女性従業員でに切り盛りされている、こじんまりとしたお店。そのテーブル席に4人が収まったのはつい先程だ。
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