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    aqua_cat2525

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    aqua_cat2525

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    花主に逆戻りしたので誕生日小説書いてみたよ

    誕生日おめでとう🎂

    その日は朝早くからメールが届いていた。

    _________
    To:陽介

    今日は早く帰るから家にいろよ!絶対いろよ!

    ________

    短文で拒絶を許さない文面に苦笑し「わかった」とだけ返す。明日は終日お互いに休みをとっているので気兼ねなく過ごせるということで孝介自身も楽しみにしていた。
    平日に休みをとった弊害で早朝から仕事にいかないといけなかった彼とは朝から顔を合わせていない。もともと今日と明日はご馳走を用意しようと考えていた。予定を切り上げ夕食の買い出しと同居人が帰ってくるまでに用意が必要なものを買い出すために仕事の作業をしていたラップトップを閉じて立ち上がった。


    梅雨時の空はどんよりしているが降り出すには早い。
    買いすぎたというくらいにパンパンに膨らんだ買い物袋に視線を落とし軽くため息を吐いた。
    ついつい買い込み過ぎてしまった自分の問題もそうだけどこんなにすぐ天候が崩れるとも思ってなかった。
    「降り出す前に帰り着けるか、コレ」
    早く帰ると宣言していた同居人も仕事の時間から午後しか帰宅しない。折角買ったのに雨に濡れてしまうのは面白くない。
    タクシーでも呼ぼうかとスマホを取り出したところで月森と声が聞こえた。
    「ああ、久しぶり」
    数年ぶりに会った高校の同級生は目をまん丸にして両手いっぱいの荷物を見やった。
    「随分な買い物だな?そろそろ雨降りそうだぞ?」
    偶然通りかかったにしてはこちらを気にかけてくれる彼ににやりと笑って暇かと声を掛ける。
    その表情に感じるものがあったのか、彼は苦笑いで乗ってくと彼の車を指さした。



    自家用車で買い物に来ていた知人に感謝の意を告げると次は飲み会こいよと苦笑がちに返された。
    孝介だって行きたくないわけじゃないのだがいつも開催される間が悪い。優先順位を付けると下位の方になるこつちの高校の同窓会は参加できることはないだろうと思っている。
    苦笑しながら家の扉に手を掛けると鍵を取り出すことなく開いたことにおやと思った。
    まだ正午過ぎ同居人が帰宅するには早い。
    不思議に思って中を伺うがリビングの電気は灯っていない。鍵をかけ忘れたかと焦って室内に飛び込むと「おかえり」と堅い声がした。
    「帰ってたのか」
    電気も付けずに座っていた同居人花村陽介に驚き、俯いたままの彼を伺いつつ電気を付ける。
    「待ってろっていったよな?」
    「買い出しが足りてなかったから...今日早いんだな」
    朝からでていくくらいなのだから今日は残業なのだろうと思っていた孝介はなんともないに切り出した。
    ぐっと組んでいた手に力が入り、顔が上がる。眉間の皺のせいで端正な顔が台無しだと寄った眉間に指を寄せるとその手を掴まれた。
    「家まで送ってきた...誰だよ」
    はて?陽介は何を気にしてるんだろうか?
    思い出し、気にすることもないと買ってきた食材を冷蔵庫に仕舞っていく。
    「高校の元同級生...雨降りそうだから送ってもらった」
    偶然でも敢えてよかったよなと笑いかけると陽介は微妙な顔をした。嫉妬したのだろうか。
    「浮気したりしないよ、俺には陽介だけ」
    泣き出しそうにしているもう10年以上の付き合いになる恋人の額にキスを落とした。
    少し機嫌は持ち直したらしいがまだ口がへの字になっている。
    「ほら今夜はご馳走にするんだから離せ」
    釈然としない表情をするも素直に離してくれた陽介にお礼をいい、料理を作り上げた。用意した料理に2人で舌鼓をうち風呂も済ませるとベットに早々に横になる。
    「贅沢な休日だな」
    「たまにはいいだろ」
    横になった陽介に乗り上げて彼の額にもキスを落とす。程よく満たしたお腹と暖かい陽介の体温に微睡んでいると体制を入れ替えた陽介が見下ろしてきた。
    「いい?」
    「ああ...」
    ベットの波に沈められるのに任せて目を閉じた。


    目覚ましの鳴る音に孝介は目を開いた。ズキンと痛む腰に手を当てながら身を起こす。
    時計を見るとまだ少しある。当人はまだ夢の中にいるのをみて頭を撫でると擦り寄るように身を寄せてきた。
    こういうところは大型犬みたいだと思った。
    時計が長針を指すのを見てタヌキ寝入りする彼に声を掛ける。
    「誕生日おめでとう、陽介」
    「ん」
    正面から抱き締められて「さんきゅな」と笑顔を向けられた。
    「なあ、孝介」
    「ん?」
    真剣な顔になった陽介にむきなおった。
    「今日だからお前に言いたかった、俺と結婚してください!」
    握られた手には銀色の指輪と航空券。
    「形だけだけどお前と一生一緒に生きる証がほしい」
    「ん、ありがとう」
    笑顔で受け取った彼の誕生日に逆に貰ったものを両手で受け取り、笑う。
    「不束者ですがよろしく」
    ペコリと頭を下げると微笑む。
    「1番欲しいプレゼント貰えた」
    ギュッと抱きしめてくる陽介に「俺も」と笑う。
    今日一日はお互いを独占すると決めている2人はまたシーツの波に飲まれて行った。
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