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    しょーきち

    @syo_3410

    筆が乗る時にカキカキしては
    コソコソ上げます。

    Twitterで垂れ流してたもの、過去作含め
    R18はパス掛けで。


    うーん……と思ったものは消すかもしれませぬ


    カキカキしてるもの↓
    ◾︎人狼ジャッジメント

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    しょーきち

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    人狼J フェイ×ロデ 小説

    僕より上なんて居ないはず の続きです。

    前回の終わりから休みを挟んで月曜日
    朝登校してすぐくらいの勢いです。


    (※多少の人狼要素あり・なんでも許せる人向け)

    #人狼J
    humanWolfJ
    #人狼ジャッジメント
    werewolfJudgment

    僕より上なんて居ないはず2僕より上なんて居ないはず②


    「フェイくん、おはよう」

    「……おはよう……」

    朝から笑顔で挨拶をしたら
    驚いたような顔でこっちを見つめてくるコイツ…

    「懲りないね、君」

    「まぁね」

    目線を本に戻して
    そういうと肩が小刻みに揺れている。
    どうやら笑っているらしい。
    前の席に座らせてもらって後ろを向き
    本に手を置いてやつを見つめて呟く。

    「好きじゃないからな?」

    「ん?」

    「お前の事なんか好きじゃないから!」

    「?……あー、ハイハイ」

    一瞬なんのことやら?って顔をされたのが
    心底ムカつくが、理解されたらしい。

    「それわざわざ言うのに
    そんな余所行きの顔してこっち来なくても……」

    くっくっと笑いを堪えながら
    そんなことを言う……
    僕はというと相変わらずの笑顔を貼り付けながら
    少しイライラしている訳だが。

    「僕が君のこと好きとか思い上がりもすごいもんだね」

    「ちゅーされただけで顔真っ赤にした童貞が
    よく言うよ……」

    「なっ!?」

    「フェイー!」

    ふざけんなと言おうとしたら突如
    コイツの名前を呼びながら抱きついてくる影……

    か……かわいい!!
    何だこの子!

    「……エマ?」

    抱きつかれていることをものともせず
    嫌そうな顔をして後の女の子に声をかける

    「へへぇ〜!ん?だぁれ?この子」

    僕の方を真っ直ぐ見ながら
    きょとんと首を傾げる。

    「ロディです、よろしく」

    いつもの様に笑いかけながら名乗ると
    にっこりと笑って

    「私エマ!よろしくねー!」

    元気な返事。
    屈託のない笑顔に思わずキュンとする。
    大きな目と小柄な体
    ポニーテールが元気なこの子によく似合っている。

    「フェイのお友達?」

    「いや、クラスの人気者」

    「ふぅん??」

    どうやら、エマちゃんに対しては素のままらしい。
    周りからは見えてないんだろうが
    ものすごく面倒くさそうな顔だ。

    「ねぇね!今日お家……」

    「エマ、ストップ」

    お家……?
    途中まで話した言葉をさえぎって
    エマを引き剥がすと向き直る。

    「ん?」

    「学校ではあまり絡んでこない約束はどうしたの?」

    「だってさぁ、連絡返してくれないじゃん!」

    ムスッとした顔も可愛い……
    じゃなく、今家って言ったか?

    「返すから、ここではダメ、ね?」

    「……はぁい」

    「いい子」

    「あ!じゃあ放課後連絡するからねー!」

    颯爽と去っていくエマちゃんを見送りながら
    思わずぽかんとしてしまう……
    目の前で繰り広げられたカップルのような会話に
    思わず言葉を失った。

    「……友達?」

    やっとでた一言がそれ。
    家に行く……抱きつく……学校で内緒の関係……
    彼女だろうか?

    「まぁ……幼なじみかな」

    「あんな可愛い子が幼なじみ!?」

    なんだそれは……
    不公平だ。あんな可愛い子が幼なじみなんて。
    俺にはごつい無愛想の男しかいないって言うのに!

    「……アレが可愛い……?」

    「可愛いだろう!」

    考えられないと言うような表情で
    心底不思議そうにこちらを見つめてきたと思うと
    思い出したようにニヤリと笑った。

    「百人斬りしてるロディくんは
    ああいうのがタイプな訳ね」

    「……百人斬り?」

    「告白断り続けてるから
    百人斬りとか言われてたけど?」

    まさかそんなふうに言われてるなんて……

    「しかも、好きな人がいるとか噂になってるけど
    エマのこと?」

    「は?」

    いや、なんだその噂……
    と思いながらよくよく思い出してみると
    そう言えばコイツをからかうために
    告白された女子に対して
    『好きな人がいる』って言った気もする
    まさか噂になってるとは……

    「エマはやめといた方がいいよ」

    「君の彼女だから?」

    「どうしてそうなる……アイツは……」


    [キーンコーン……]


    凄いタイミングでチャイムが鳴った
    『アイツは……』なんだ?と気になったが、
    コイツは続きを話すつもりなはいらしい
    早く行けとばかりに目線を向けてくる。

    「また後でね」

    にこっと微笑んで席を立つと
    やつは静かに本をしまった。


    ーーーーーーーーー


    あの会話をしてからこの1週間くらい
    アイツから無視をされている……気がする。

    他の誰かが僕に喋りかけてくるのは仕方ないとして、
    アイツも誰かと話していたり
    なんなら休み時間も放課後も知らない間に帰っている。

    「……また避けられてる…?」

    なんだろう、また僕は何かしたのか?
    それともアイツのことだ……
    またなんかの作戦なんだろうか。

    1週間避けられていて気がついたことがある。

    僕はエマちゃんのように
    アイツに連絡する手段もなければ
    約束する手段も、家も知らない……

    こうやって向こうから避けられてしまったら
    話すことも出来ないのだ。

    「……なんなんだホントに……」

    もう居ないあいつの席を見ながら悪態をついて
    ゆっくり委員会に向かう。

    廊下を歩いている時にふと外を見ると

    「あ……いた」

    まだ近くに居たらしい。
    ちょうど窓の外…こちらに背を向けて
    真っ直ぐ校門に向かって歩いている。

    「フェ……」
    「フェーイー!!!」

    僕の声をかき消すように
    大きな声が聞こえたかと思うと
    アイツに後ろから走り寄る人物……エマちゃんだ。

    何やらまた言い合ってるようだが
    エマちゃんは笑顔だし
    アイツも……嫌そうではない。

    キュッと口を閉じて思わず窓際から離れた。
    なんだろう……喉の奥が痛い……
    締め付けられたようにツンとした痛みが
    喉の奥に拡がっている。

    「……彼女、なのかな」

    ボソッと呟くとその言葉が呪いのように
    自分の中で渦巻いていく。

    『僕の相手をしている暇はない』

    そんな感じなんだろうか。

    「あんなことしといて……」

    思わず唇に指を当ててアイツとエマちゃんが
    学校の外へ出ていくのを見送った。


    ーーーーーーーーー


    あれから、本当にあの言葉が
    呪いになってしまったらしい

    『彼女』
    『相手にする暇もない』

    そう考えたら何故か
    同じ教室にいるアイツに話しかけに
    行きにくくなってしまった。

    更にあれから1週間……
    全く話していない。

    肝心の奴はというと
    特に変化もなく、教室の中ではいつも通り
    窓際の席で本を読みながら1人だ。

    特に周りから話しかけられることも特に無く
    自分から話すことも無い。
    前の陰キャラのまま……

    ヤツにとっては日常に戻っただけなんだろう。
    僕に話しかけられ続けていた方が
    異常だったのかもしれないし、
    嫌だったのかもしれない。

    そう思うと何故か話しかけに行けない。
    ぐるぐると考えてはキュッと喉の奥が痛む
    それを繰り返している。

    あー……駄目だ……こんなの僕らしくない。

    放課後になってすぐ、
    席を立ったアイツの腕をつかんで呼び止めた

    「フェイくん、ちょっと……」

    「……なんですか?」

    いつものオドオドしたキャラ。
    目も合わせない顔…
    全ていつも通りなのに裏があるように感じるのは
    コイツの素顔を知っているからだろうか。

    「話があるんだけど」

    僕はにっこりと笑って腕を掴む力を強くした。
    逃がさんぞと言わんばかりに。
    逃がしたくない思いが強すぎたのか
    思ったより強くしてしまったらしい。

    「……痛てぇよ」

    ボソッと呟かれた低いトーンの言葉と
    メガネの下から覗いている
    鋭い眼光に思わず手を離した。

    「ごめん…」

    「僕急いでるんで、明日でもいいですか」

    「え……」

    僕から目線を逸らして歩いていこうとするコイツ…
    勘違いでもなんでもなく……本当に拒絶されている?

    「エマちゃん、か?」

    思わず出た彼女の名前。
    それに対して返ってきたのはまた冷たいあの目線だ。

    「関係ないでしょう?」

    グッと言葉を飲む。
    何も言えない……
    いつものようにヘラっとして
    見送ればいいものをそれも出来ないらしい。

    じんわりと視界が歪む……喉の奥が痛い
    なんか……フラフラする……?

    フッと意識が遠のいて
    視界が真っ暗になった

    「ちょ……ロディ!?」

    焦ったようなアイツの声は
    本物なのか僕の幻聴なのか
    わからないまま意識を手放した。


    ーーーーーーーーー


    フッと目が覚めてボーッと辺りを見回すと
    ベッドに白いカーテン……
    アルコールの匂いと生徒の声……
    保健室のようだ。

    そうだ、僕さっき……

    急に意識が遠のいてそのまま
    倒れたらしい。

    思い返してみると
    寝不足気味だったような気もするし
    あまりご飯も食べてなかったかもしれない

    はぁ……とため息をついたら隣から
    物音と小さく声が聞こえる。

    誰かいたのかと思い、息を潜めると
    あまり聞きたくない声と名前が聞こえた。

    「ねぇ……フェイ……」

    「はぁ……早くしろって……」

    「ん、わかってる……わかってるから……」

    息が上がっているようなエマちゃんの声と
    憎たらしいあいつの声……
    少し上ずっているような声が聞こえて
    僕の思考がフリーズした。
    なんだ……何を……

    「ったく、なんで俺が」

    「ごめんね。でも……」

    「いいから早くしろって……」

    「んっ……」

    面倒くさそうなアイツの声と
    エマちゃんの上擦った声……
    それに、チュッと聞こえた音…

    「っつ……」

    「んっ……んむ……」

    声を抑えながら、聞こえてくるリップ音と水音……
    考えるより先に僕はカーテンを
    勢いよく開けてしまった。

    「なにして……!?」

    「あ、ロディくん!」

    「だから早くしろってのに……」

    僕の目の前に広がった光景は
    想像していたものとは違っていて

    ベッドレストにもたれかかって
    やれやれとため息をつくフェイと
    その上から馬乗りになっているエマちゃん…
    そして

    「フェ……フェイ、血が……」

    「あぁ、大丈夫」

    ヤツの首筋を伝っている血と
    真っ赤なエマちゃんの口元。
    なんだ……何が……

    「エマ!!」

    「あっ、アンナちゃん!?」

    「やっと見つけ……ぇ?」

    パタパタと近づく足音とベッドのカーテンを開けて
    僕と同じように固まっている人がもう1人

    そりゃそうだ……こんなもの目の前で見たら……

    「……エマ……もしかして」

    「あ、ちが……違うの!」

    なんだろうか、可愛らしい女の子2人が
    浮気現場を目撃したかのような言い訳……
    冷静な組み敷かれてるコイツ……

    なんだ、僕が変なのか……?

    「あーもーめんどくせぇ……」

    ガシガシと頭をかいて起き上がると
    首筋の血を拭ってエマちゃんをどかすフェイ。
    僕の方を見たかと思うと

    「ロディは大丈夫なの?」

    と、イライラした様子で聞いてきた。

    「あ、うん……」

    反射のように答えると
    今度は女の子に向き直った。

    「おいあんた」

    「へ?」

    急に冷たく声をかけられて
    びっくりして固まる女の子

    「お前がアンナだろ?
    早くこのバカの相手してやってくれ
    俺に付きまとわれて困ってる」

    「え、なに……」

    「ちなみに俺とこいつは幼なじみで
    なんでもない。」

    「え、あ……」

    「大好きなアンタが怖がってるって
    ビービー泣いて俺のとこ来るんだよ、何とかしてくれ」

    「フェイっ!」

    戸惑う女の子に一方的に色々話しかけ、
    それをエマちゃんが大きな声で止めた。
    フェイはエマちゃんの頭に手を置いて

    「じゃああとは自分で何とかしろよ」

    そう言って僕の手を掴んで
    カバンを持って廊下に出る。

    「あと、保健医に帰ったって言っといて」

    そう言って保健室のドアを閉めて
    僕の方を振り返ることなく問うてくる。

    「で、ロディは何泣いてんの」

    「へ?……ぁ」

    されるがまま引っ張られてきた訳だが
    知らない間に涙が出ていたらしい。
    自分でもいつからこんな事になったのか
    よくわかっていないが、
    自覚すると、不思議なことに止まるどころかポロポロ零れてくる。

    「あー……ちょっとこっち」

    目元を袖で拭いながら
    優しく握られている手を握り返して
    少し早足に近くの備品室に入る。

    「で?どうしたんですかね、ロディくんは」

    少し身をかがめて俺をのぞきこんで
    シャツの裾で涙を拭いてくれる。

    「アレ……何……」

    「あぁ、エマか。……アイツ人狼の血が入ってて
    たまに人間の血を飲まないと暴走しちゃうんだって」

    「え?」

    何を言ってるんだと思ったが
    先程の光景を思い出して少し納得する。
    非現実的な話だが……まぁ信じるしかないだろう。

    「今まで抑えられてたのに、アンナ?
    ……さっきの女の子の前で暴走したらしくてね。
    俺が抑える協力してたって訳」

    はぁ……と大きなため息をついて
    説明は終わりだとばかりに会話が止まる。
    僕はそっと近づいて血が滲んで赤い襟元に指を当てる

    「……痛くないのか?」

    「ちっさい頃からだからなんか慣れてる」

    「……そうか」

    少し腫れているそこは熱を持っていて、
    優しく撫でるとピクンと方が揺れる。

    今までこんな感じだったのかもしれない。
    とんでもないものを見たような気はしたけど。

    「信じる?」

    「いや……まぁ……目の前で見たし……」

    「だからエマはやめとけって言ったでしょ?」

    「へ?」

    いきなりの予想外の言葉に
    びっくりしすぎてマヌケな声がとび出た。

    「いくらタイプでも傷つくのわかってたしね」

    「いや、ちが……」

    「可愛かったのに残念でした。」

    ふふっとからかうように笑われて
    思わず声を荒らげた。

    「別に好きじゃない!」

    「あ、そ……じゃあ何?なんで泣いてんの
    ってか、何倒れてんの。」

    からかう表情から一転して襟元にあった僕の手を握って
    目を見ながら聞いてくるフェイ
    あの鋭い冷たさはなく、こちらを見ている。
    その目を見ながらポロッと涙がまた零れた。

    「君に、避けられてたから……」

    そう言葉に出すとまた喉の奥がグッと痛んで、
    涙が溢れてくる。

    あぁ、そうか……泣きそうだったんだ僕。
    色んな言葉も泣きそうな感情も
    全部飲み込んで、笑顔を貼り付けていたから
    この喉の痛みも
    泣きそうだったなんて分からなかった。

    「最近、喉の奥が痛くて
    うまくご飯食べれなくて……
    夜も色々考えて寝れなくて……
    避けられてて話もできないし
    エマちゃんが彼女だと思ったらなんか……
    僕が話しかけたりしたら邪魔なのかと……おもっ…」

    溢れ出す涙も止まらないまま一気に
    吐き出すと、少し楽になった気もする。
    じんわりと歪む視界で
    先程の赤い血をぼーっと見つめながら
    口を閉じた。

    「ロディ」

    「なに……うわぁっ」

    急に手を引かれて、フェイの身体にぶつかる。
    ギュッと抱き締められながら上から声が降ってくる。

    「自分で言ってることわかってる?」

    「へ……」

    「僕のこと大好きで、失恋したと思って
    無視されて、悩んで寝れなくて
    悲しくなってご飯も食べれなくて
    倒れて泣いてるって聞こえるんだけど?」

    少し小刻みに震える肩と
    声のトーンで笑っているのがわかった。

    というか……なんだって?
    僕が……

    「え……あっ!ちが!」

    言われたことをしっかり反復して
    吸収したと同時に出た言葉は否定だった。

    「へぇ?」

    「はな、離せ!」

    驚きで涙は引っ込んだものの
    今度は心臓がうるさいらしい。

    「ロディが今言ったのに?」

    少し体を離して僕の顔を見つめながら
    楽しそうに笑う目の前のコイツ……

    「そんなこと言ってない!お前なんかっ」

    必死に手を解こうとして暴れる僕の
    腰に手を回してしっかり引き寄せると
    僕の頬に手を当ててまっすぐ僕を見た

    「じゃあ……もっかいキスする。」

    「え」

    なんだかとんでもないことを言われている。
    思わず固まると続けて言葉が投げられた。

    「本当に嫌で、僕のことなんかどうでもいいなら
    振り払って逃げなよ。そうしたら
    そうなんだなって思う事にするよ。」

    メガネをそっと外して
    横の机に置くと
    改めて僕の頬に手を当てて
    ゆっくり近づいてくるフェイの顔

    「ちょ……待って……」

    「ロディ」

    慌てて言葉を紡いだものの
    真剣な眼差しで名前を呼ばれて思わず固まった。

    「んっ……んんっ!」

    抵抗することも無く
    しっかりと受け入れてしまったキス。
    思わすギュッと目を閉じてしまった。

    腰に回されている腕も
    頬に添えられている手も
    僕と合わさっている唇も
    先程までの強引さはなく全てが優しく感じて
    体温が一気に上がるのを感じる。

    「ん……」

    そっと離れたかと思うとペロリと
    唇を舐められて、驚いて目を開ける。

    「ちょっと!ふぁ……ぁ……ぅ」

    何するんだ!と吐き出すより早く
    もう一度塞がれた口に
    今度はぬるりと舌が入り込んできた。

    「ふ…ぁ…」

    離れようとした手はフェイの襟元を掴んでいて
    うっすら見える視界からは
    僕を見ているコイツの目……

    回らない思考の中で優しく僕の口の中を探る舌に
    どうしていいのか分からずされるがままだ。

    「ん…ぅ……ふ……んんっ!?」

    するりと制服の裾から
    手が入り込んできて腰を撫でられて
    驚いて体を離した。

    ずっと見られていたのがわかって睨みつけると
    優しく笑うフェイ……

    「ちょっと!」

    「ふふ、キスしかしてないよ」

    「今!手がっ!」

    シャツを戻しながらそう言うと
    悪びれもせずに

    「あぁ、手が滑ったかな?」

    なんて言って笑うコイツ……

    「なっ……!」

    「で?誤解は解けましたか?」

    「何が……」

    警戒するように睨みつけると
    両手を顔の横でヒラヒラと振って
    意地悪そうに笑うコイツ……

    「エマは彼女じゃないって言ったでしょ?
    そもそも幼なじみだし……
    こんなことがなきゃ毎日アイツと帰らないって」

    「あぁ……うん。」

    嫌そうに顔を歪めたフェイの今の言葉に
    嘘は無いのだろう。
    たしかに……あんな状況なら仕方ないのかもしれない。

    「まぁ、さっきの続きはいつでもいいよ」

    フフっと笑って制服を整えるフェイ。
    それがなんだか妙に色っぽくて思わず顔を逸らして

    「しないっ!」

    と否定してしまった。

    「ふーん」

    「な……なんだよ……」

    制服を正してからこっちに向き直り
    少し離れた僕を上から下までじーっと見つめる

    「そこ、半立ちだけど?」

    下半身を指さしながら
    デリカシーの欠けらも無い言葉をぶつけられて
    思わず下を向くと
    奴の言っていることが事実だと証明された

    恥ずかしさで震える僕の近くまで来て
    また唇にちゅっと音を立ててキスを落とすと

    「今度ね」

    耳元で低く呟いて
    荷物を持って出ていってしまった。



    「死んじまえアホー!!!!!!」



    前にもこんなことがあったなと思いながら
    また僕らしくない言葉の絶叫が
    準備室に響き渡る。

    またあの憎たらしい顔で
    クスクス笑いながらこれを聞いているんだろうか。

    僕はまた、熱くなった体と
    下半身の落ち着きを取り戻すまで
    ここに居るしかないようだ。
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