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    しょーきち

    @syo_3410

    筆が乗る時にカキカキしては
    コソコソ上げます。

    Twitterで垂れ流してたもの、過去作含め
    R18はパス掛けで。


    うーん……と思ったものは消すかもしれませぬ


    カキカキしてるもの↓
    ◾︎人狼ジャッジメント

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    しょーきち

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    逃亡の行方の続き
    オマケのようなお話です。

    #人狼ジャッジメント
    werewolfJudgment
    #人狼J
    humanWolfJ

    逃亡の行方ー残された手紙ー「無事に生還…って訳ですね」

    「あぁ…」

    白髪の紳士が整った顔で
    優しく微笑む。

    いつもように俺は
    ポケットからタバコを出すと
    火をつけて吸い始めた。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    俺はあの日…ニックから拒絶された日…
    エリックのところへ逃げ込んだ。

    霊能者のエリックと何故か
    スーザンも一緒にいて、
    俺に対して警戒をしていたようだが
    泣き出した俺を見て
    2人とも優しく心配してくれていた

    「外にいる。大丈夫、夜は安心しな」

    スーザンはそう言うと
    猟銃を持って外へ出た。


    ボロボロと涙が溢れてくるのを
    止められないまま、
    エリックに対し、全てを打ち明けると
    優しく抱き締めてくれた。

    「それは…辛かったですね…」

    エリックはここに来る前から知っていた
    唯一の人だった。
    だからこそ、ここに来るのは最後の手段。
    なんなら、信頼していたからこそ
    ニックのところに行くのも告げていた。

    「俺が死んだらあいつは人狼だ…」と。

    人狼ではなかったこと、
    俺の表情から嬉しいことがあったことも
    エリックはわかっていたからこそ、
    今日ここに来るのは驚いていた。
    ずっと涙が止まるまで寄り添ってくれたエリックと
    扉の外で静かに護衛してくれていたであろう
    スーザンに感謝しながら
    夜が明けると、
    更に俺を地獄に叩きつけるような
    報告が待っていたのだ。


    【ニックは襲撃されました】
    【フレディは襲撃されました】


    サッと血の気が引いて
    カタカタと震え出した俺を
    現実に引き戻したのはエリックだった。


    「しっかり。今は悲しんでる暇はないですよ」

    エリックが俺の肩に置いた手も
    少し震えているのを感じて
    ハッとして、今の現実に向き合おうとしていた。

    それでも、
    ニックの拒絶は
    俺を守るためのものだったのではないか…
    それとも本当に遊ばれていただけなのか。

    どちらにせよ
    自分の無力さを呪った。


    その後は一瞬だった
    フレディが最後の人狼だったらしく
    すぐに俺たちは開放された。

    犠牲になったやつも多かった…

    それでも
    何故か俺は…生き残った。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    どうせなら…

    「一緒に行きたかった…」

    「クリスくん…」

    グッと涙をこらえて上を向く。

    「それはダメですよ」

    「どうしてっ!」

    優しいエリックの声に泣きそうになりながら
    後悔をし続けている自分に苛立ちながら
    それをエリックにぶつけた

    「コレを」

    エリックから手渡されたのは
    1枚の封筒。

    宛名も何もないその封筒を、
    裏返してみると、
    ボタッと垂れている血の跡…

    「まさか…」

    「彼の部屋に、あったみたいですよ」


    急いで封を開けると
    アイツらしい、少し走り書きだけど
    角張った綺麗な文字で文章が書かれていた。


    『クリスちゃんへ

    ま、これを読んでるってことは
    俺は無事に君を護って死ねたってことで
    大丈夫かな?

    あの夜、本当に嬉しかった。
    俺のところに来てくれて。

    多分、本当にヤバい時
    俺はクリスちゃんを傷つけるかもしれない。
    もしかしたら護りきれないかもしれない。

    それでも、あの夜にクリスちゃんに言ったことは
    全部嘘じゃないよ。
    それだけは信じて欲しい。

    傷つけてごめん。
    受け入れてごめん。
    でもあんな状況でも俺のものにしたかった。
    寂しがり屋なのにな、1人にしてごめんな。

    それでも…
    俺の分まで生きて、幸せになってくれ。





    p.s.


    命を賭けてもいいくらい



    全てを投げ出してもいいくらい



    クリスを愛してるよ。



    ニック』



    「バッカじゃねぇの…」


    その手紙を握りしめると
    クリスは流れてくる涙を手で拭った。

    「寂しがり屋一人にさせてどうすんだよ…」

    「彼の最後のお願い…ですかねぇ…
    それでも生きてて欲しかったと。」

    「ふざけやがって」


    グッと涙をこらえると、
    思わぬ声に顔を上げる。

    「悪態つけるなら大丈夫でしょう。
    貴方らしくないんですよ、
    もっと強がっててください。」

    「はぁ?!」

    「しおらしくめそめそ泣かれても
    正直調子が狂うんですよねぇ…」

    「なっ…!?」

    やれやれと、困ったように肩を落とすエリックの
    表情を見て思わず涙が引っ込む。

    「ふふ、泣き止みましたか?
    行きますよクリスくん」

    俺の手からスルッとタバコを奪うと
    口にくわえて歩き出すエリック


    「…うっせぇな。」


    その後を追うように
    俺もゆっくり歩き出した。


    「お望み通り…
    生きてやるよ、バカニック」



    ー残された手紙ー

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