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    しょーきち

    @syo_3410

    筆が乗る時にカキカキしては
    コソコソ上げます。

    Twitterで垂れ流してたもの、過去作含め
    R18はパス掛けで。


    うーん……と思ったものは消すかもしれませぬ


    カキカキしてるもの↓
    ◾︎人狼ジャッジメント

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    しょーきち

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    人狼J ヒュロデ小説

    [同じ袖と違う丈]というお題を貰っていて
    そのお題に沿って書かせてもらいました。

    なんでもOKの方々お読みくだされ。

    全然大遅刻しましたすみません()
    ヒュロデ大好きフォロワーさんのお誕生日おめでとう作品(のつもり)です!

    #人狼ジャッジメント
    werewolfJudgment
    #人狼J
    humanWolfJ

    僕のワガママと望み夕暮れ、待ち合わせ場所でいつも通り腕を組みながら
    いつもとは違う格好でこちらを見つめる彼。
    祭りの会場の近くで人が多くても
    目立つ体格とその容姿に少し胸が高鳴りながら
    僕もいつもとは違う格好で
    不慣れさを勘づかれないように近くまで寄ると
    正面からまじまじと見つめられながら
    甘く低い声が降ってくる。

    「まさかお前さんに誘われるなんざ思わなんだ」

    「そう?僕だってどうせ行くなら好きな人と行きたいよ」

    僕より背が高くて、ワイルドで豪快で、男らしくて……
    そんな自分とは真逆と言ってもいいこの人に
    思わず惹かれてしまうのに理由なんてなかったと思う。

    「相も変わらずストレート表現なこって」

    「嫌いじゃないでしょ?」

    「勿論。」

    歳が少し離れていて、余裕があって
    大人の魅力を感じているのは間違いないけれど
    僕を理解しているのに甘やかしてくれる
    この人に益々好意が寄ってしまうのは仕方がない。

    なんとなく乗り気じゃない祭りも
    僕が誘えば来てくれる……、なんて
    自惚れていたけれど
    ただの自惚れじゃないんじゃないかと
    調子に乗ってしまうのも仕方がない。

    「僕の浴衣と似てない?」

    「確かに似てるかもな?
    でも野郎の浴衣なんてこんなもんじゃねぇの?」

    まぁ、僕がなんとなくヒューっぽいなと思って
    自分の浴衣を選んだ女々しいやつなんだけれども

    まさか本当に同じ様なものを選ぶなんて
    思わなかったし
    ましてや着てきてくれるとも思わなかったし……

    浴衣姿を見たいと言ったら
    『持ってねぇよ』と言いながらこうして着て来てくれて
    僕の少し後ろを歩いて着いてきてくれるのだから
    本当に僕に甘い。いや、僕にだけじゃないのか?

    と頭の中で誰が聞くでもない言い訳と言葉と
    質疑応答が繰り返されている。

    「そんで?場所は?」

    「場所?」

    そんなぐるぐるした頭をぶっ飛ばすように
    急に飛んできた質問に
    そのままオウム返ししてしまった。

    人混みの中でも通るその声に
    思わずふりかえって確認すると
    こちらを困ったように見つめて首を傾げるヒュー。

    「花火見てぇとか言ってなかったか?」

    「あぁ、うん」

    そんなたまたま流れで言った言葉すら
    覚えていてくれるのが嬉しくなってしまう。

    「お前さんのことだ、場所取りとかはしてねぇんだろ?」

    「してないよ?会場にいれば見れると思っていたし」

    「相変わらずだなぁ……」

    ははっと笑いながら頭をかいたその姿は
    いつもの彼そのものなのに
    浴衣のせいなのか妙に色っぽく感じてしまう。
    悟られないように前を向き直して1歩踏み出した時だった

    「うわっ……!」

    慣れない下駄に足を取られて
    前につんのめって転びそうになって目を瞑ると、
    ぶつかったのは地面ではなく
    別のものに身体が支えられて思わず目を開いた。

    「危なっかしいな?」

    「あ、ありがとう……!」

    ヒューの腕がしっかりと肩に回されて
    転びそうになった体を支えてくれていた。
    勢いよく見上げると、思ったよりも近いところで
    こちらを見下ろしているヒューと目が合って
    慌てて離れようとする手を止めるように優しく掴まれた

    「掴まっとけよ、また転びそうになっても嫌だろう?」

    先程まで腕を組むように
    袖の中に入れていた手を
    少しだけ緩めて肘を向けてくる。

    肘に腕を回してくっつきたくなる衝動を抑えて
    何とか袖をそっと掴むとちらりと様子を伺った。

    「ははっ!肘に手ぇ掛けりゃいいだろうが。」

    「いや……これで充分だよ。」

    こんな風に優しく扱われることが
    どれほど嬉しいかなんてわからないだろう。
    同時にどれだけ心臓が掴まれて握りつぶされそうな
    勢いで切なくなるのも分からないだろう。

    先程とは変わって僕の少し前をヒューが歩いて
    転ばないように人を避けながら
    ゆっくり歩いてくれている。

    「どうして僕に付き合ってくれるの」

    ハッとした時には口から零れていた小さな呟きは
    この人混みの中でも聴き逃してくれなかったらしい。

    「…どういう意味だそれ」

    立ち止まってこちらを確認するように
    覗き込むヒューの顔をどうしても直視出来ず
    少し俯いてしまった。

    「僕の気持ちわかってるでしょ。
    それで突き放しも、引き寄せもせず
    程よい関係で僕と居てくれるじゃん。
    助かってるんだけど……」

    「なんだそりゃ。お前がそうしろって……」

    「だって!」

    食い気味に言葉を発してヒューの言葉を止めると
    袖を掴んでいた手を掴まれて少し早足で
    祭りの賑わった会場を避けた
    少し薄暗い脇道まで連れてこられた。

    「お前さんが望んだんじゃねぇのか?」

    そうだ、僕が望んだ。
    曖昧なままでも構わないから
    近くにいられればいいと思って。

    でも、欲張りになっていくらしい。
    甘やかされて、どうしようもなく優しくされて
    そんな状態から抜け出せないのが嫌な反面
    嫌われるのが怖くて聞きたくない。

    「明確にすりゃいいのか?」

    真剣にそう問われてしまうと
    思わず言葉が詰まってしまう。
    ヒューを見つめるとこちらを伺うように
    見つめている。

    「お前はどうしたいんだ?ロディ」

    「僕……は……」

    真剣なその眼差しを見つめながら
    声を絞り出すと
    なんだか涙が出そうだ。

    知りたいはずなのに、知るのが怖い
    明確な関係の方がいいこともあるのに
    この曖昧な緩い楽なままでもいい
    僕の気持ちを知ってどう思ってるのか
    聞いてみたいのに、
    全てにおいて怖いと思ってしまうのは
    僕が臆病なせいなんだろうか?
    今のままでも充分幸せを感じているのに
    これ以上なんて……求めてしまってはいけない気がする。

    それでも……

    「僕は……ヒューが好き」

    目をあわせてそう呟くとぽろっと涙が零れた。

    「どうしようもないくらい好きみたい……」

    涙を零したまま、そう伝えると
    大きな手が伸びてきて
    目元を指で拭ってくれた。

    「知ってる」

    そう言いながら
    ふわっと優しく微笑まれて
    こちらを見つめる顔にドキッとしてしまう。

    「僕を恋人にしてほし……っ」

    ぽろぽろ溢れる涙と一緒に僕の願望が出た。
    なんで泣いているのかもわからないけれど
    もう伝えるだけでいっぱいいっぱいだ。

    自分の袖で顔を隠して涙を拭うと
    その手をそっと握られてヒューの方を向かされた。

    「お前が望んだこと全部してやりてぇくらい
    俺もロディが好きだよ」

    目を合わされてそんなことを言われて
    聞き間違えなんじゃないかと思わず固まった。

    「お前の望みが例え恋人にならない選択だとしても
    それでいいと思ってたんだから
    俺の方が重症かもしれねぇぞ?」

    くしゃっと笑って僕の頭を撫でるヒューに
    涙なんか引っ込んで
    じわじわと体温が上がる。

    「うそ……」

    僕も同じような気持ちで
    ヒューもそれでもいいと思ってたなんて
    誰が予想できたのだろうか。

    「じゃなきゃ誘われたって来ねぇよ」

    「嬉しい……」

    悪戯っぽく笑うヒューにつられて
    ふふっと笑って素直にそう答えると
    頭を撫でていた手で僕の掌を包んで
    しっかり握ってきた。

    「さて、じゃあ行きますか」

    そう言って歩き始めたヒューに手だけ引かれて、
    置いていかれないように少し早歩きをして
    横に並ぶと、何かあったかと思考を巡らせる。

    「どこに?」

    何か用事でもあったのかと思い
    不安そうに声をかけたら
    返ってきたのは予想外の言葉だった。

    「花火見てぇんだろ?場所取ってあるよ」

    驚いてヒューを見上げるとほんのり耳が赤い気がする。
    さっきまでと違って少し早歩きな気がする。

    そんな些細なことに気がついて
    僕にまで伝播してきそうだ。

    それに……、さっき言っていた
    [僕の望みなら全部叶えたい]も
    嘘じゃないらしい。

    僕のワガママというか、僕が弱いせいで
    かなり遠回りをした気がするけれど
    今こんなに幸せなら
    それも悪くないかなと思ってしまう。

    「ヒュー」

    「なんだ?」

    「ありがとう、大好き」

    「おー、おれも大好きだ」

    少し火照った顔と、少し早い歩調で
    恋人になってくれた彼にくっついて
    花火を楽しみに歩くのだった。
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