お別れの仕方 時を渡る前のこと、忘れられた塔へ向かう前日の夜のことだった。その時はまだベロニカが生き返るかも知れないとか、そういうことをふんわりと考えていた。
まさか僕一人で時を渡ることになるなんて思わなかったし、誰も考えていなかった。そんな夜。
「もし、もしもベロニカが生き返って、それで、上手くいったらその時は……その後は勇者さまは何をするんだ?」
焚き火を囲んで僕とカミュは将来のことを話し始めた。
「その後かぁ……今、家でごろごろしてるしなぁ……」
「ははは。だから聞いてんだろ、ちゃんと目標決めておかないと今のお前はなーんもしないだろ」
進行の鬼だ。
「カミュだっておんなじだろ」
「俺はちゃんと決めてある」
カミュはイレブンを見ない。目前の燃える焚き火を眺めながら会話を続けた。
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