あめふり雨が降っている
窓を叩きつけるような大雨が
何気なく着けたテレビのニュースでは、小さいながらも嵐がきているという
それを聞いて、沈んだ心がもっと憂鬱になる
雨は嫌いだ、昔から
心をざわつかせる雨音も
温度を奪う水の感触も
全部全部大嫌いだった
それでも、もっと嫌いになったのは
あの日のことを思い出すから
一日にも満たない
最悪で最低なあの時のこと
だけど…それでも
何もかもを忘れてしまわないのは
忘れたくない誰かがいるから
なぁ、おっさん…
僕は雨が嫌いだよ
どんな御託並べたって、最後には必ず同じ情景が浮かぶんだ
あんたが消えたあの時が、いやにはっきり浮かんでくる
ましてや、耳を塞ぎたくなるような雨音が響く今日なんて特に…
なぁ、おっさん…
おっさんは今もあの冷たい、暗い海の中に一人でいるのか?
僕は、あの時あんたが助けた女科学者のもとで身体に大きい痣を毎日作られながら、訳わかんないやつらと戦ってるよ
正直、逃げ出したくなる時があるよ
だけど、あんたが僕も
そしてあいつらも生かせてくれたから、僕はどんなに嫌でも逃げたりしないって決めた
だけど…だけどさ…
こんな日は嫌なことばっか考えるんだ
考えて何もかもが嫌になって投げ出しそうになって
けど、そんな勇気も出なくて中途半端でまた嫌な気持ちが増えていく
きっと、あの日と同じ雨のせい
全てを覆い尽くす
そんな雨のせい
だから…
だから、きっと
今僕の頬を濡らすこれだって
雨が、僕の頬を濡らしてるだけなんだ…
――――――
『寂しいよ…おっちゃん』