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    pinka

    @pinka1014aka

    1014R用
    らくがき、創作マスター♀いる

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    pinka

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    マークス記念日の話
    マクマスのようなもの
    マスター中心

    ※創作マスター名前個性あり
    ※独自設定あり
     レジマスが士官学校の教師をしています。
     マスターの正体がハムスター

    Precious Memories もうすぐマークスの記念日だ。
    僕の愛銃であるUL96A1を手に入れた日。その時はまだマークスは貴銃士にはなってない、ただの銃だった。
    だから直接話したことは無かったけど、銃の時も記憶があるようで時々思い出を語ってくれる。そんな事まで覚えているのか!? と少し気恥しさもあった。

    そんな僕の愛銃であり、初めての貴銃士であるマークスの初めての記念日、だからなにか特別なものをあげたいと考えていた。
    普段から好きそうなものを貴銃士達にプレゼントする時は多々あるが、特別……となるとなかなか思いつかない。
    こんな時ヴィヴィがいたら……きっと親身になって考えてくれたのだろうな。
    貴銃士達の中にも相談に乗ってくれそうな銃達はいるが、マークスにだけ特別のものを……と相談するのはマスターとして気が引けた。
    出だしから躓いた僕はうーんとベッドに転がると、ベッドサイドに置いてあるハムスターのぬいぐるみがゴロンと落ちてきた。
    このぬいぐるみは貴銃士クラスの家庭科を担当しているトミイ先生が僕のハムスターの姿を模して作ってくれたぬいぐるみだ。
    「…… そうだ!」

    その日の放課後、僕は家庭科室へと向かった。
    「あ、リコさん!? どうしたの?」
    家庭科室には裁縫部の生徒達が数人と、顧問であるトミイ先生がマネキンに服を着せてあれこれしていたが、僕の顔を見るなり笑顔が消えた。気まずい空気が流れる。
    元レジスタンスのマスターであるトミイ先生は現役でマスターをしている僕に色々と思う所があるのだろう、と恭遠教官が言っていたのでそのせいだろうか。
    「あの……ちょっと相談がありまして……」
    「え? はい」
    明らかに身構えているのを察して他の生徒達はゾロゾロと教室を出ていった。

    「……それで、なんでしょうか」
    「はい。あの、もうすぐマークスの記念日で……その……記念になるような何かを特別に作ってあげたくて、それで……相談に……」
    「記念日!?」
    「はい……。それで、マークスが喜びそうなもので、できれば実用的なものがいいんですけど……何かありませんか?」
    「……」
    トミイ先生は暫くだまって俯いていたが、次第に肩を震わせて笑った。
    「ぷっ……あっははは!!」
    「え??」
    「ごめんなさい。あまりにも意外でつい……。貴女にもそういう感情があったんだね」
    「どういう意味ですか?」
    「いや、だってリコさんは戦闘大好き! みたいな感じだったし、貴銃士達に対してもみんな平等に扱ってて、いかにも軍人って感じで妙な貫禄もあったから……なんかこう、貴女の口から特別なんて言葉が出てくるとは思わなくてさ。しかもマークスくんの為だけにとか! へぇ~?」
    僕は恥ずかしくて今すぐハムスターの姿に戻って土に潜りたい気持ちになった。
    「リコさんも普通の女の子だったんだね」
    トミイ先生は涙を拭いながら笑うと、ふぅっと息を整えてから言った。
    「そうだねぇ実用性ならマークスくんが普段どんな事をしてるかとか趣味とかを考えてみたら? そこから彼がよく使うものがわりだせないかな?」
    マークスの趣味や普段してること……ハーブや薬作り? でも実用的と言えば実用的だけど、それだといつもあげてるものとあまり変わらない。
    「あとは彼の好きな物をあげるのもいいんじゃないかな。お花が好きとか本を読むのが好きだとか。何が好きなの?」
    マークスの好きな物を聞いた時のことを思い出す。

    『俺の好きなものはマスターだ』

    「……マスター」
    それを聞いたトミイ先生は再びお腹を抱えて笑い出す。
    「ぶぶっ!! あはは!! リコさんってなかなかの自信家なんだね? 『彼の好きなものは自分です』なんてなかなか言えないよ?」
    ヒーヒー笑いながらもトミイ先生は「まぁでもわかる」と真顔に戻り一人言を言いながら机から一冊の本を取り出した。
    ぬいぐるみの作り方と書いてある。
    「マークスくんがそんなにリコさんの事好きなら、リコさんのぬいぐるみ作って渡してみたら? 自分のぬいぐるみ渡すの恥ずかしいならマークスくんのぬいぐるみも作ってペアにしてみればいいんじゃないかなぁ」
    「……ぬいぐるみ」
    僕はその本を受け取ってじっくり見た。裁縫は苦手だが作れるのだろうか。
    「きっと喜ぶと思うよ。それにマークスくんは普段、リコさんのことばかり話すから……リコさんが作ってくれたらきっと嬉しいだろうな」
    「そ、そんなに話しますか?」
    「そりゃあもう! リコさんの話ばっかりだよ。本当にリコさんの事が好きで仕方ないんだね」
    自分のいない場所で何を言われてるのか気になるが、純粋に嬉しかった。
    「ありがとうございますトミイ先生。僕、頑張って作ってみることにします!」
    「はい。頑張れ!」
    トミイ先生に見守られながら僕は裁縫道具を借りると早速作業に取り掛かった。放課後も任務のない日は家庭科室へと通って作業をした。
    流石に服は難しいだろうとトミイ先生が作ってくれたが、布切れがどんどん服の形になっていくのは魔法のようだった。
    僕が慣れない作業で怪我をした時はトミイ先生が迅速に手当をしてくれた。

    以前、トミイ先生の授業を1度だけ見たことがあるが、なんともやる気のない授業だった。他の貴銃士からもトミイ先生は教師らしくないという話ばかりを聞いていたし、見た目が派手すぎると恭遠教官に叱られているのを見た事もあった。この人があの憧れの元レジスタンスのマスターだったなんて信じたくなかったけど、今はなんとなくわかるような気がした。

    作業中、トミイ先生は少しだけ革命戦争の英雄、シャスポーについて教えてくれた。
    マークスを見てると、あの頃のシャスポーを思い出す……と寂しそうな顔をしながら言うトミイ先生に僕は何も言えなかった。

    そしてついに
    「出来た……」
    僕は完成したマークスのぬいぐるみを両手で抱えた。
    「可愛い……」
    自分で作ったものだが、なんとか形になったのが信じられないくらいだ。上手いとは言えないかもしれないが、マークスは喜んでくれるだろうか。
    「トミイ先生! ありがとうございました」
    「いえいえ。いいのが出来て良かったね」
    「はい!」
    「そうだリコさん」
    トミイ先生は僕の作ったマークスのぬいぐるみを指差しながら言う。
    「貴銃士たちってさ、みんなそれぞれ特別な能力を持ってるけど……実はその能力は貴銃士達の心や精神に大きく影響されるんだよ」
    突然の話題に僕は首を傾げたが、トミイ先生はそのまま続けた。

    貴銃士達はその力を使って戦うことで心や精神が成長していく。だから貴銃士達は戦い続けるんだ。そうやって彼らは強くなっていく。
    貴銃士の中には辛い過去を持つ子もいるけど、それでも前を向いて戦っている。
    彼らの力は希望であり、未来への架け橋だ。
    貴銃士達はこの世界の大切な存在だけど、その貴銃士達にとって特別で大事な人がいる。
    それが……
    ──リコさんだよ。

    僕は思わず息を飲む。

    トミイ先生は優しく微笑むと 、僕の頭を撫でた。
    私は、リコさんが羨ましいよ。
    私にはもうないからさ。


    トミイ先生の言葉は僕が思うよりずっと重いのだろうが、何だか不思議な暖かい気持ちになった。

    僕は完成したマークスのぬいぐるみを丁寧に箱に入れ、リボンをかける。これを渡したらマークスは何て言うかな。想像すると胸が高鳴った。

    僕は急いでマークスを探しに行った。中庭でマークスを見つけて、僕はドキドキしながら声をかけた。
    「マスター! やっと補習が終わったんだ! マスターにこんなに会えない日が続いたなんて……」
    僕の作業期間中、ちょうどよくマークスも補習があったようだ。
    僕は小さな紙袋を差し出し、マークスはそれを不思議そうに受け取る。
    「マスター! 開けてもいいか?」
    マークスは無邪気に言う。僕は大きくうなずいた。
    ゆっくりと包装を解くと、驚いたように目を見開く。中にはマークスと僕を模した2頭身のぬいぐるみ、士官学校の制服を着ている。顔の刺繍はあんまり上手くいかなかったけれど、トミイ先生は愛嬌があって逆に良いと褒めてくれた。
    「これは……俺と、マスター!?」
    マークスは自分のぬいぐるみを手に取ると、回転させ色んな角度から眺める。そして僕のぬいぐるみを手に取ると頭に軽くキスをして、抱きしめた。
    「うわ!」
    自分がされた訳ではないのに恥ずかしくなって僕は思わず顔を手で覆った。そんな僕に気付くことなく、マークスは興奮気味に言う。
    「これ、どうしたんだ? あ、トミイ先生が作ったのか?」
    「あぁ、トミイ先生に教わりながら僕が作ったんだ。マークスの記念日だからそれで……」
    マークスは目を大きく見開くとぬいぐるみを抱きしめ校舎へと走り出す。
    「おい! どこへ行くんだ!」
    「マスターが作ってくれた!! 俺とマスターのぬいぐるみを皆に見せてやる。屋上がいいだろう、皆に見せてこの素晴らしさを……」
    「待って!!!!」
    僕は慌てて追いかけマークスの腕を掴む。
    「そのぬいぐるみは……その、特別なんだ、マークスにだけ特別に作ったから……」
    息も絶え絶えに僕が言うと、マークスはピタリと立ち止まった。
    マークスの顔がみるみる赤くなっていく。
    「マスター……俺の体……おかしい、心臓のカウントが……いつもより早くて、ギュッとしてて、壊れそう」
    マークスは胸に手を当てると、僕の方をまっすぐ見る。
    「……安心しろ、僕もだ」
    2人して全速力で走ったからだろう、僕達は笑い合う。
    マークスはぬいぐるみを箱にしまうと大事そうにそれを抱えた。
    「よし、リラックスするハーブティーを淹れよう! マスター、一緒に来てくれ」
    「……あぁ」
    来年の記念日も、この愛銃で相棒の彼とこのかけがえのない時間を共に過ごせたら……薔薇の傷と針で刺して傷だらけになった手を見て僕は思った。

    終わり
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