恋と呼ぶにはまだちょっと早い 「ついてないなぁ」
呟いて暗い空を見上げる。
雲は真っ黒で、まだまだ雨は止みそうにない。
そもそもカバンの中にちゃんと折り畳みの傘を持っているつもりだった。
だからこそ委員会の終わり間際に雨が降っていると聞いても慌てなかったし、
「小波さん、大丈夫なの?」と聞かれた時も
「大丈夫ですよ」とヘラヘラ笑って、残りの分の仕事を全部引き受けたりしたんだ。
家族のグループLINEでお母さんに、迎えに来て欲しいとお願いしようかとスマホを取り出した瞬間、背中側から声をかけられる。
「真面目ちゃんじゃねぇか、こんな時間まで残ってたのか? 日直…じゃない、よな。委員会とかか?」
「御影先生…そうです、委員会で」
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