灼熱のリンデン 次の日レイモンドはいつもの時間に起きてこなかった。また蹴飛ばして起こしてやろうかと思ったのだが、シルキィに止められる。
「レイちゃん具合悪いみたい。またエルフ風邪かも」
「今年もかよ、そういえば昨日ちょっと寒かったな」
「裸で宿題手伝わせたの良くなかったなあ……なんか淫魔だけで人間界に暮らしてると感覚おかしくなっちゃうって感じする」
こう言うのが苦手でサキュバス界から出たはずなのにね、とシルキィがしょんぼりする。
シルキィは元々淫魔の性に奔放なところが得意でなかったサキュバスで、人間界で過ごすうちにレイモンドと恋仲になっていた。そしてそれをアルベリオが催眠で歪めて奪った。アルベリオに価値観を寄せているので、シルキィは前よりずっとサキュバスらしくなった。
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