クリスマスな萌目「12月24日だよ目金君」
「そうですね漫画君」
「僕達が恋人になって初めてのクリスマスだよね」
「正確にはイヴですが、そうですね。漫画君と出会ったのも春頃でしたしこの様な関係になったのも夏の終わり頃でしたから」
「そうなんだよ。今日という日はバレンタインもお付き合い1周年記念も経験していない僕らにとって初めての恋人らしいイベントさ」
「そんな日に何で僕達は直接顔を合わせずに通話でやり取りしてるの?!ねえ何で!?」
「健全な中学生男子が夜に二人きりで過ごせる訳がないじゃないですか」
「目金君冷静すぎるよ……」
「そう言われましても、前々からこの日に直接会うのは難しいからせめて通話越しで話しましょうって二人で決めていたのでね」
「そうだけどさあ……。折角僕も原稿に追われていなくて目金君も自宅に居るのに会えないなんて……」
「すみませんね。クリスマスは家族で過ごすのがうちの決まりですので」
「それは素敵な決まり事で僕も好きだけど、それはそれとして寂しい気持ちは拭えないよ……」
「……」
「ねえ目金君」
「何ですか?」
「今直ぐ自撮り送ってくれない?見ているこっちが照れちゃう位のあざと可愛い顔で」
「同情した僕が馬鹿でしたよ何でそんな恥ずかしい事をしなければならないのですか!」
「だってだって!目金君と話しているのに声しか聞こえてこないだなんて耐えられないんだもん!」
「だってじゃないですよ!それに漫画君はカメラ起動させたら逐一スクショを撮って僕の了承も無く保存しているじゃないですか」
「保存しない方がおかしな話だろう?」
「漫画君がそのスタンスな以上自撮りは送りませんしカメラ付きで通話はしたくありません」
「えーん目金君が意地悪だ……」
「これは別に僕が悪い訳では無いと思うのですが……仕方がありません。漫画君、君さえ良ければ明日一緒に遊びに行きませんか?」
「……え、明日はMMOのクリスマスイベをやりこむから会えないって」
「まさか漫画君がこんなにも悲壮感溢れる状態になるとは想像していなかったので。予定空けますから、明日は二人で過ごしましょう」
「……うん、うん!僕家まで迎えにいくから!朝から晩まで遊び回ろうね!」
「二人とも体力持たないでしょそのプランは。……ま、精々僕を満足させられるデートプランを考えて置いて下さい」
「目金君のそれ、照れ隠しか本気で言っているのかが分かりやすくて良いよね」
「切りますね」
「あっちょっと待っ___(プツッ)
翌日
「へへへー。目金君とクリスマスデート出来るなんて嬉しいなあ。今日は目一杯楽しもうね」
「漫画君は本当にこの手のイベントが好きですね」
「それは否定しないけどさ、僕は目金君と一緒にこういうイベントを楽しめるのが嬉しいんだよ」
「……ふうん。ところで、今日はどこに行くのかは決めているのですか?」
「勿論!まずは前に二人で話したこともある水族館のクリスマス限定展示を見に行って、近くに良さげなお店があったからそこでランチ。あとは夜になるまで買い物に行ったり気になってたお店に行ったりして最後にイルミネーションを見て帰る。どう?急拵えにしては良いプランだと思わない?」
「え、帰るのですか?」
「へ?」
「母には帰るのは明日になるかもしれないと伝えて出ているのですが」
「……」
「……」
「え、今から家行く?!」
「イルミネーションを見せてくれるのでは?」
「だってまさか目金君の口からそんな誘い文句が出るなんて思わなかったんだもん……」
「……まあ正直なところ、僕自身はクリスマスというイベントを特別視していませんし普段通りの日常という感覚ですが、漫画君にとってはそうでは無いのでしょう?であればこういう事もセットで楽しみたいのかなと思いまして」
「僕の事を思ってそうしてくれたの?凄く嬉しい……。僕もう色々と満たされちゃって胸がいっぱいだよ……」
「大袈裟ですねえ。勝手に一人で満足しないで下さいよ」
「あ、今のちょっとエッチだったもう一回言ってくれる?」
「帰ります」
「待って目金君ごめん!謝るから夜まで、いや明日の朝まで僕と一緒に居てお願い!」