hnst有り難う(大人萌目)日はとうに落ち月が暗闇を照らす夜更け頃。普段は利用者で賑わっている商店街も誰一人として歩いておらず、その路地裏に入り口を構えるゲームセンターも不気味なまでに静まり返っていた。
そんな人気の無いゲームセンターの奥にあるメガネハッカーズのアジトで一人、漫画萌は原稿を描き進めていた。このアジトには昼夜問わず誰かしら居るのが普通なのだが、今は時折訪れるゲーム制作や仕事の依頼が入っていないオフの期間である。この『アジトに誰一人訪れないオフ期間』という絶好の機会を利用し、萌はアジトを期間限定の原稿作業部屋として活用していた。
普段はリーダーである目金が愛用しているソファに座り、机に置かれたノートパソコンに液タブを接続してデジタル原稿を仕上げていく。今萌が作成している原稿は製本する予定の無い、精々ネットの海に流すだけの作品で、言わば萌の趣味で描いている品物だ。その為〆切の類はなく、今の様な時間にゆとりがある時期にのんびりと描き進めているのであった。
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