Δノスクラ出会い編1 すまない、父を止められなかった。そう、涙目で震える歳上の友人の姿に呆れたような気分と、何故止めてくれなかったのかという気持ちと、いや無理もないお前は頑張ったと肩を叩いて慰めたい衝動が一気に湧き上がったものの、ノースディンがそれら全てをぐっと腹の中に抑え込む事に成功したのは数日前の昼だった。
「じゃそういう訳だからシクヨロ。ドラウス、私が留守の間は代理頑張ってね」
「解っています頑張ります俺はできる子努力の子!うぇーんミラさーーーん!!」
えーんと大きく悲痛な叫び声をあげて執務机に突っ伏す友人の姿は悲痛なものであったが、純白の制服の背が昼の明るさに眩く煌めいていたのが奇妙に瞼の裏に焼き付いている。
友人の父でありノースディンにとってはかけがえのない恩人にして誰よりも敬愛する人物は、嘆く息子の姿を何処か微笑ましげに眺めている。と言っても彼は極端に表情に乏しいため、おそらく他人から見ればひどく冷淡な男に見えているのだろうが。
1947