それは、向かい合わせの恋。「こんなに遅くなっちゃうなんて……。司くんに後でしっかりお詫びをしないと……」
手早く改札を抜け、人の波を縫うように足早に進んでいく。
今日は久々のデートの日だけれど、親戚が顔を出すからと少し足止めを食らってしまった。
事前に司くんには連絡済で、元々デートがあるから抜けるとも話してはいたけれど、僕の恋人ということもあって親戚がいやに食いついてきて、ずっと話してくれなかったのだ。
そのせいで、僕は事前に伝えていた到着時間よりも30分遅くついてしまった。
普段のデートさえ遅刻しないように気を付けているから、こんなに遅くなるのは始めてだ。
前もって遅れることを伝えているとは言え、大切な司くんとの時間が削れるのは本当に嫌だった。
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