赤い薔薇の花言葉は知っていますか?「どうぞ。三輪先輩」
そう言われた三輪に差し出されたのは瑞々しい赤い薔薇だ。
「……なんだこれは」
「薔薇です」
「見ればわかる!なんでこれを俺に渡すんだと聞いてる」
当然のように答える烏丸に思わず声を荒らげてしまう。烏丸はそんな様子を気にしていないようで、あっさりと答えた。
「三輪先輩に渡したくて」
それにどう返せばいいのかわからず、三輪は何も言えなかった。なぜ薔薇の花なのか。どうしてそれを俺に渡そうと思ったのか。一体何を考えているのか。
「……何を企んでいる。迅が噛んでいるのか」
「人を悪者みたいに言わないでください。それから迅さんは関係ありません」
そう言うと烏丸は一歩距離を詰める。何か気迫のようなものが感じられて、三輪は一瞬戸惑ってしまう。整った顔を寄せて、彼は言う。
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