11月カレンダー没案(サシャ・リーンハルト) ほう、とついた息が白く漂う。もうそんな
季節になったんですねー、としみじみとして
サシャは陶器の音をテーブルに響かせた。
本日の茶会は鮮やかに色付いた秋を
鑑賞しようと屋外で行うことになっている。
外気での冷却も計算に入れてあるから、
ティーポットの中身はそろそろ飲みごろに
なるはずだ。あとは二人を待つだけですね、
と視線を上げれば、はらりと赤や黄が高い
空に散っていた。かつての戦いと同じ季節が
これほどまでに穏やかに過ごせているのだ、
とサシャはゆるりと目を細める。
「おや、あいつはまだ書類と格闘中かな」
「年の変わり目も近いですからねー。魔道
交信ではもうすぐ来ると言ってましたがー」
そうしてさらりと金の髪を揺らす赤い鎧も、
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