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    suminest

    グノーシア関係でもぽぽいと。
    ましまろ
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    suminest

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    弊主人公がステラさんに寝かしつけてもらうだけの話。

    #グノーシア
    gnosia
    #ステラ
    stela

    最初の夜の話。 ……眠れない。

     ループの終わった最初の夜。
     必要最低限に光量を落とした部屋で、無理やり意識を沈めようと奮戦している。

     私のループは終わった。終わってしまった。
     セツを残して、私のループは終わってしまった。
     分かっている。こうするしかなかっただろう事を。
     セツが、恐らくは「私」の最後の情報を開く為には。

     だから、すぐラキオに話を持ちかけた。
     いつかのループで相談した通り、特に問題も無く承諾してくれた。
     ……そこにグリーゼへの同行が決まったレムナンがいたのは……いや、いやいや。
     少しほとぼりが冷めたら、また深宇宙行きの仕事を探すと、言って……。
     ああ、もう大丈夫だと、切りださないと……いや、いやいや……まだ確証がもてて無……いや、うん、そうだ。

     私には、やらなければいけないことがある。
     私に残っているだろう「銀の鍵」の残滓。
     並行宇宙の研究。
     セツがループを抜けるのを、せめて。
     もしもできるなら、この手で。
     わざわざ「銀の鍵」がこんな宇宙を用意した。
     そこには、必ず意味があるはずだと……だと……。

     眠れ、私。さっさと。
     結果が出るのは何時か分からない。まずは体調管理だ。
     ジョナスの長話の時を思い出せ。
     目を閉じて、意識を、深く、深く、深く……うん、ダメだな。
     空間転移の失神で夜を過ごす事も視野に入った頃……。

    『大丈夫ですか?』

     半端に沈みかけた意識は、聞きなれた電子音と音声でまた引き上げられた。
    「……転移までは、あと……」
    『あと二時間ございます』
    「二時間……」
     ループ中の、グノーシア対策中では考えられないほど余裕がある。
     私が過ごしてきた日常が、どれだけイレギュラーな事だったか思い知る。
     多くの星系が地球と同じ、24時間のサイクルで活動している。
     私も……そこに……。
    「睡眠導入剤の処方を」
    『お勧めできかねます。ふふっ……少し、そのままでお待ちください』
     要求は食い気味に突っぱねられ、電子音声に「ステラ」が出てくる。
     体を起こそうとすればモニターされてるのか『そのままで』と念を押される。

     扉が開くと、ゆったりした寝間着姿のステラが入って来た。
     体を起こそうとして……やはり「そのまま、ですよ」と制される。
     そのまま寝台の傍らに椅子を出して、額に、手を乗せられた。
    「私も、データで見ただけなのですけど」
     私の体温より、少し、冷たくて……良い匂いがした。
    「リラックスできる香りを用意したのですけど……お嫌いでしたか?」
    「いや……良い香りだ」
    「それは良かったです」
     気分が落ち着いてきたのは、手のおかげか、香りのおかげか。
    「でも……いいの?」
    「長旅、だったのでしょう?」
    「秘密をラキオに盛大にばらしたのに?」
    「でも、いずれ私にも相談されるおつもりだったのでしょう?」
    「うん、まぁ……」
     そう、証明してみなよと意地悪く言われて、LeVi経由で、ステラを呼び出した。
     訳ありだらけのこの船で私も例に漏れず、いくつかの宇宙港を経由するにあたってどうしても協力が必要になる事は目に見えていたから。
     もちろん、この船にいるうちに調べられる事は調べておきたかったのもあるけど……。
     半分、脅しみたいなものだ。
    「私も最初は驚きました。でも……ふふ、これも、縁というものかもしれませんね」
    「縁……」
    「初めてお会いした時、良い友人になれそうだと思ったんです」
     いつかの、懐かしい言葉だった。
     もう一人の私に訝しげていた記憶が、それに、差し変わるのか……。
    「それとも、旅の中で紡がれてきたものでしょうか」
    「……だとしたら……酷い事も沢山したよ……」
     何度も消した。いや、疑いを向けて凍らせる方が多かった。
     どちらの方が酷い事だろう。いや……。

    「それもこの宇宙の私が関知するところではありませんし、あなたのおかげで基地に向かわずに済んだわけですから」
     訳ありだらけのこの船で多数決を取ったらそれはもう答えは見えたもの。
     密航とその幇助者、逃亡者二名、その幇助が一名。
     人権の確保されてない知性化動物と、身勝手の皮をかぶったいい人。あと宇宙人。
     あそこで行ったらメンドクサイ事になるーと言っていたSQは……あのSQと見ていいだろうか。
    「ステラは向かう派だと思ってた」
    「いえ、ジョナス様の相手をなさる方々の事を思うと」
    「わかるー……」
     武勇伝を聞かされる羽目になるであろうと思えば、確かに。
     いや、そのうやむや力に私は今頼っている現状もあるのだが。
     それはそれとして、わかるわー……。

    「苦労、なさったみたいですね」
    「うん……」
     額に乗せられた手が、労うように目蓋を撫でる。
     香りの情報など殆ど持ち合わせておらず、ただ、それがほんのり甘い事だけはわかる。
     手袋の無い手。前髪をそっと撫でられるたび心地よい香りがする。
    「今は、お休みください。明日、アラートに起こされる事もないのですから」
     流石というか、解ってるなぁ……。
    「少し寝坊をしてみるのもいいかもしれません」
    「……ラキオに叩き起こされるかも」
    「それも良いかもしれませんよ?」
     今ステラが座ってる場所に仁王立ちして長文お説教に入るのが目に見える。
    「もしてこずるようなら、レムナン様を動員されるかもしれませんし」
    「私、そんなに分かりやすい?」
    「ラキオ様のお部屋に踏み込んだ時とレムナン様の前に引き出された時であそこまで変わられれば」
     なんかすごく嬉しそうなんだけど?
    「……私を寝かしつけにきてくれたんだよね?」
    「はい」
     言葉通り、額を撫でる手は優しい。

     とりとめのない話をした。少しからかわれたりした。
     皆の秘密に触れない範囲で、ループの時の事を話したり。
     しげみちの良い所は、ちょっと盛った。あと、ジナは和食派。
     私の意識が落ちる境は、認識される事も無く……。

    「おやすみなさい、良い夢を」
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