幕間の楓恒㉖ 有象無象が己の意見を述べるだけの場になっている会議で、丹楓は眉目を寄せながらその光景を眺めていた。実のある話をしたのははじめだけ、次の戦はどの時期に何処へどの部隊が向かうかを話していたのだが気が付くと話の流れは羅浮の統治の話へと変わり、己の権力を誇示したい者たちだけが次々と意見を出す場へと変わっていた。
このような場に丹恒を連れて来れず、屋敷に一人置いてきたのだが今頃どうしているのかとふと考えてしまう。このような場で要らない時を過ごしているうちに何かが起こっているかもしれない。
そう考えると、この意味のない時間を早く終わらせなくてはと思ってしまう。
「飲月、顔に出ているぞ」
「……其方も出ているが」
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