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    drop15_astra

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    pixivに載せているKissで吸魂するジキミハを加筆修正して再録しています!サクッと読めるので未読の方がおりましたらどうぞ!ジキミハKiss吸魂はいいぞ!

    君は悪戯な吸血鬼昼休み、オレは人気のない校舎裏の階段に腰掛けて人を待っていた。
    先程、同級生のミハル——霧生見晴から『今すぐ会いたい』『ほしいの』などと相変わらず第三者から見たらいかがわしいやり取りだと勘違いされても仕方がないような文面のチャットを受け取り、いつも待ち合わせをしている体育館裏に向かったのだ。オレとしてもそろそろ破壊衝動のエネルギーが溜まってきていると感じていた為、ちょうど良いタイミングであった。
    しかしオレの方が到着が早かったようで待ち合わせ場所にミハルの姿はなく、まあ向こうから提案してきたのだからそのうち来るだろうと思い気長に待つことにしたのだ。

    ミハルとは先日偶然面識を持ち、そして思いがけないことからお互いの体質について知ることになった。オレは度々訪れる破壊衝動のエネルギーを“吸魂”という形でミハルに抜いてもらうことによって、ミハルはオレのエネルギーを吸って体力を回復することによって、互いに平穏な学園生活を送れるようになるのである。
    利害の一致から始まった関係だが、こうして授業の合間を縫ってはミハルに“吸魂”してもらうという名目で共に時間を過ごす中で、他愛もない話をすることが出来るのが心地良かった。何より、人には言えない“秘密”を抱えた者同士のオレたちは互いの境遇や生い立ちに共感出来る部分が多く、仲良くなるのにそう時間は掛からなかった。

    そんなことをぼんやりと考えていると、こちらへと近づいてくる金髪の小柄な少年の姿が見えてきた。しかしその足取りは力無く、今にも倒れそうに見えた。どうやら今回は相当ギリギリだったらしい。
    「うう、もうダメ……」
    ふらふらと歩みを進めていたミハルだったが、ようやく互いの声が届く距離になるとか細い声で呟いた。普段から透き通るような白い肌の彼だが、今日はそれを通り越して青ざめて見えた。
    「大丈夫か。今日はいつもに増して顔色が悪いな」
    「最近色々あって疲れてるんだよ。早く吸わせて……あっ」
    どうにかオレの目の前まで辿り着いたミハルがそう言いかけると、地面に躓いたのか突然前のめりになり、そのまま階段に座っていたオレの上に覆い被さるように倒れ込んだ。
    「おいっ……」
    上から降ってきたミハルを受け止めようとしたその瞬間、ほんの僅かにその唇がオレの唇に当たった。
    「……っ!?」
    そのまま倒れ込んできた見晴はオレの膝の上にがっくりと項垂れてしまった。そんなミハルを心配するより先に、先程唇が触れ合ってしまったことを思い返す。
    (事故とは言え今、唇が……。いやしかし、一瞬のことだったし気付かれてはいない、か?)
    思わず一人頭の中でぐるぐると思考を巡らせてしまったが、暫く経ってもミハルに動く気配がないことに気が付き、ハッと我に返って彼の体調を心配する。
    「だ、大丈夫、か?」
    内心動揺を隠せないままそう問い掛けると、突然がばっと顔を上げたミハルが口を開いた。
    「い、今のって……!」
    その表情は先程までの青白さはなく、僅かに頬が赤らんでいるように見えた。
    「え?あ、いや、事故だろう……」
    流石に気付かれたか、と思い気まずさから思わず目を逸らすと、ミハルは身を乗り出してオレの顔を真っ直ぐに見つめた。
    「今!ジキルとキスした瞬間!一瞬だったのに大量の生気が流れ込んできた!どういう原理!?」
    「は……?」
    予想していたのとは全く違う反応が返ってきて戸惑っていると、畳み掛けるようにミハルが言葉を続けた。
    「ねえ、もう一回してもいい?」
    「は!? 何を言ってるんだ!?」
    更に予想だにしない言葉がミハルの口から飛び出し、オレは思わず声を荒げた。
    「ダメ?ボク、試してみたいんだけど……」
    「そ、それは……」
    ミハルは困ったように眉を下げ、上目遣いで瞳を潤ませる。
    こんな表情、反則だろう。オレは少しだけ思案した後、はあ、と溜息を吐いてから返事をした。
    「……一回だけだぞ」
    「やった♪ じゃあいただきまーす」
    そう言うなりミハルはオレの頬を両手で掴むと目を細めて顔を近づけた。次の瞬間、ふに、とミハルの柔らかい唇がオレの唇に重なる。
    いつも腕から吸魂して貰っている時に感じる、身体に燻っていた衝動がスッと抜けていくような感覚はあったが、それとは別の熱が身体の内側にじわじわとたぎっていくような心地がした。
    数秒唇を重ね合うと、ようやく満足したのかミハルが唇を離した。気恥ずかしい思いを抱えつつも目の前のミハルに視線を送ると、彼は新しい発見をした時の子どものように目を輝かせていた。
    「……これ、かなりいいかもしれない。腕を摘むより効率もいいし、何よりすごく元気になった感じがする」
    「そ、そうか」
    「ジキルは、どう?」
    「そう、だな。……悪くはなかった」
    思ったことを素直に告げると、ミハルがニヤリと笑う。
    「じゃあ、これからはキスで吸魂させてくれる?」
    「いや、流石に体育館裏で毎回そういうことをするのは……」
    「なんで?お互い平穏な学園生活を送る為には一番効率のいい方法だと思うけど?」
    「いや、しかし……」
    その押しの強い姿勢にオレが言い淀んでいると、少し間を置いてミハルが「ふふっ」と笑った。
    「冗談だって」
    「そ、そうか」
    安心したような、何か惜しいことをしたような気持ちを抱えていると、ミハルが言葉を続けた。
    「でも、元気になったのは本当。……また、限界になったらお願いするね」
    「は」
    オレが言葉を返せないでいると、ミハルは勢いよく立ち上がって駆け出した。
    「じゃあまたね〜!」
    そう言って手を振りながら少しずつ遠くなっていく背中を、オレはただ呆然と見つめることしか出来なかった。
    「……全く、何なんだ……」
    オレは再び大きな溜息を吐いて、さて次にミハルにあった時、一体どんな顔をすれば良いのかと思案するのであった。
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    君は悪戯な吸血鬼昼休み、オレは人気のない校舎裏の階段に腰掛けて人を待っていた。
    先程、同級生のミハル——霧生見晴から『今すぐ会いたい』『ほしいの』などと相変わらず第三者から見たらいかがわしいやり取りだと勘違いされても仕方がないような文面のチャットを受け取り、いつも待ち合わせをしている体育館裏に向かったのだ。オレとしてもそろそろ破壊衝動のエネルギーが溜まってきていると感じていた為、ちょうど良いタイミングであった。
    しかしオレの方が到着が早かったようで待ち合わせ場所にミハルの姿はなく、まあ向こうから提案してきたのだからそのうち来るだろうと思い気長に待つことにしたのだ。

    ミハルとは先日偶然面識を持ち、そして思いがけないことからお互いの体質について知ることになった。オレは度々訪れる破壊衝動のエネルギーを“吸魂”という形でミハルに抜いてもらうことによって、ミハルはオレのエネルギーを吸って体力を回復することによって、互いに平穏な学園生活を送れるようになるのである。
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