酔った勢い「ディープキスってどうやってするんですか?」
首まで真っ赤に染めた旧友が枝豆の殻をいじりながらとんでもない質問をした。
「は?」
「きせくん、おじょうずなんでしょう?」
下から覗き込むように言われて、唇が引きつった。
正直勘弁してほしい。
「なんでそう思うの?」
質問を返してみれば、ジョッキに付いた結露を白い指先でなぞりながら「う~ん」なんてうなっている。
「きせくんがキス好きそうだから?」
「そんなん初めて言われたんスけど」
『キスが上手そう』と言われたことはあるが、好きそうと言われたのは初めてだった。
実際、黄瀬はキスが上手い自信はあるが、好きではない。
本当に好きな人以外の唾液を舐めるのは軽い苦痛だった。
でも、本当に好きな人は手に入らないのだから、代理で欲を晴らしていた。
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