ピーナッツバター・ジェリーラブ さて、まず目の前に幼女がいるという話から始めなければならない。
大きく潤んだ瞳、やわらかそうな丸い頬、癖のないさらさらの髪、小さく短い手足に身体。まごうことなき幼女である。
どうしてその幼女がオズの腕に抱かれてフィガロの部屋に運ばれてきたのか疑問は尽きないが、それはともかくとして。
問題は、その幼女が賢者にそっくりという点である。
――ていうかこの子、賢者様だよね?
「……おまえそういう趣味あったの?」
「何の話だ」
もちろん冗談だ。千年の付き合いで一度も通じたためしはないが。しかし数年前までよく目にしていた光景だ。
ちょっと、ほんのちょっと、勘ぐったところはある。もちろん冗談だ。
「……部屋で泣いていた」
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