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    miduamesan

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    miduamesan

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    ワンウィで上げるはずだったのに消してしまった❄️の風.邪ネタです。

    勘違い「へっくし…ズビッ…」
    「あら?嫌だ。千冬風邪かしら?」
    朝起きると体に感じた違和感、鼻は詰まるし喉がイガイガする。
    原因は団地の下で場地さんど駄弁ってる時に薄着だったからだろう。
    場地さんは何度も上着を貸してくれようとしたが寒がりは場地さんの方だし俺は場地さんとの時間が惜しくて上着を取りに行かなかった。
    「千冬?本当に大丈夫なの?」
    「んーへーきー」
    母ちゃんは心配そうだが、俺には休めない理由がある。
    今日の合同体育で場地さんの勇姿をこの目に焼き付けなければいけないのだ。
    これは熱が何度あっても頭が沸騰しても絶対に譲れない。
    それでも体は重くて準備に思ったより時間が掛かってしまった。
    何とか準備し、階段を降りると場地さんはもう下で待っていた。
    「おせーぞ?千冬ぅ」
    「すみま…うわっ…!」
    場地さんを見て安心した俺は盛大にフラついて場地さんの胸元に飛び込んでしまった。
    「おい!あっぶねーな…」
    「はぁ…すみませんっ!…」
    「なに?千冬ぅーお前、風邪引いたん?」
    場地さんはペタペタと俺のおでこや首筋を触った。
    「んー?熱はねーみてぇーだな…」
    「くふ…場地さん。手つめてーっすよ」
    「あぁ?おめー待ってたから冷えたんだろうが!」
    それでも心配そうに眉を下げてくれる場地さんは本当に優しい。
    「ちょっと喉痛いだけっすから…それにこの黒マスク、イカすでしょ?」
    「おぅ…何かヤンキーみてーだな…」
    「ぶはっ!場地さん、俺は元々ヤンキーっすよ」
    「そうだったな…お前はゴリゴリのヤンキーだったワ」
    「そおっすよ!あっ!場地さん、遅刻しますよ!?」
    「やっべ!走るぞ!千冬」
    場地さんと一緒に居れれば体調何てどーでも良くて楽しくて全部忘れてしまう。
    だけど1人になれば話は別で体のしんどさがドッと押し寄せてくる。
    「はぁ…ケホケホッコホ…」
    次の時間は待ちに待った合同体育、俺は力を振り絞り着替え場地さんをクラスまで迎えに行った。
    「あれ…?ケホッ…」
    クラスに行くと場地さんは女子と話していて告白かな?何て思い俺は遠くから見守る事にした。

    場地さんカッケーし当たり前か…。

    遠くて話し声はあんまり聞こえないが微かに聞こえた言葉に衝撃を受ける。
    「俺…嫌いなんだわ……千冬……な」  
    「え…そんな…」
    場地さん俺の事嫌いだったのか…。
    言われた言葉に悲しくなった俺はそのまま体育には行かずドッと重くなった体を引きずって保健室に行く事にした。
    「うぅ…グズッ…ケホコホ…せんせっ…ちょっと寝かせて…」
    体が重い…息ができない。
    涙が止まらなくてただ悲しい。
    「あらあら…顔真っ赤、体温計入れてね」
    先生は俺の姿にびっくりしていて体温計を差し出した。
    「泣くほど辛いのね…」
    本当は違うのだけど先生の勘違いも否定出来ずに布団に包まる。
    「38.0度…これは早退レベルね。私が教室行って鞄と制服持って来るわ」
    「ずみません…グズッ…」
    先生は寝てて良いからねと言葉を掛けて部屋を出て行く。
    その後も涙は止まらなくて力尽きるまで泣いてしまった。

    場地
    合同体育を千冬と行こうと思ったのに千冬はどこにもいなかった。
    体育にも居なくて調子が悪くて保健室にでも行ったのかな?なんて…。
    「あ!それ…千冬のっすか?」
    保健室の先生が千冬の教室の前に居て勘は当たったみたいだ。
    「そうなの…熱が高くて泣く程辛いみたいなのよ」
    「そうなんすか…」
    「あ!場地くん制服と鞄持って行ってあげてくれないかしら?私は親御さんに電話してくるから」
    「了解っす」
    「助かるわ。ありがとうね!」
    俺は先生から制服と鞄を受け取ると保健室に向かった。
    この消毒薬の独特の香りはかなり苦手だ。
    カーテンが閉まっているベッドに千冬はいるだろう。
    ゆっくりカーテンを開けると荒い息を吐く千冬がベッドに沈み込んでいて、あの時無理にでも帰らせれば良かったと後悔が押し寄せてきた。
    長いまつ毛には真新しい涙が残っていてさっきまで泣いていたことが分かる。
    その涙をそっと指で拭うとピクリと瞼が震えた。
    見開いた目が俺を捉え、千冬は悲しそうに布団を被ってしまった。
    「千冬…?」
    朝と全く違う様子にどうしちまったんだろうと疑問が沸く。
    もちろん体が辛いのはあるだろうがそれ以上に何かあると確信した。
    「ケホッケホ…コホ…」
    「千冬?布団被ってたらもっと具合悪くなんぞ?」
    「もう…いいん…です…」
    「あぁ?何が良いんだよ」
    「ばじさ…ムリして…ケホ…おれといなくて…いいっす…から…ケホッ…」
    千冬が何を言っているのか俺には理解が出来ない。
    「さっき…ろうかで…はなして…るの聞いて…」
    「あぁ…あれか…」
    「おれの…こと…きらい…って…」
    頭の中は?でいっぱいなのだが千冬が大きく勘違いしていることは分かった。
    早めに誤解を解かねーと後々めんどくせぇことになる。
    「千冬…?俺が嫌いって言ったのは煮物な」
    「え…にもの…?」
    びっくりした様に布団から目をぱちくりさせて少しだけ顔を出した千冬。
    「そう、煮物。料理部の女子に放課後、味見してくれって囲まれちまって…」
    「ふふっ…ばじさ…かっけーから…ケホッ…」
    「もちろん断ったけどな…俺は煮物食うより千冬とペヤング食いてーんだワ」
    「なーんだ…そっかぁ…」
    布団から顔を出してやっと安心した様に笑ってくれた。
    その表情とは裏腹に千冬の顔色はかなり悪い。
    「大丈夫だと分かったなら少し寝ろな?」
    長いまつ毛に残る涙を指で拭ってそのまま頭を撫でる。
    千冬は猫のみたいにスリスリと頭を寄せてきて力尽きた様に寝息を立て始めた。
    その頃保健室に先生が戻ってきた。
    「遅くなってごめんなさい…親御さん連絡付かなくて…困ったわ…」
    「じゃあ、俺が千冬連れて帰って良いっすか?」
    俺は早く千冬を部屋のベッドで寝かしてやりたくて無理を承知で聞いてみた。
    「分かったわ。場地くんの担任の先生には私から言っておくから心配しないで?」
    「ありがとうございます」
    早く千冬を連れて帰りたのに布団を少し捲ると体操服だったことに気付いた。
    やっと眠れた千冬を起こすのは可哀想だが声を掛けて起きてもらう。
    「ごめんな…千冬、ちょっと着替えよう」
    「ば…い…ズビッ…ゲホッゲホ…!」
    鼻がグズグズな千冬にティッシュを渡しゆっくりだが着替えを手伝う。
    寒いとうわ言の様に繰り返す千冬の着替えを何とか完了させることができた。
    「先生?この毛布借りてっても良いっすか?」
    「良いわよ。場地くん…」
    「はい?」
    「貴方何か変わったわね?」
    「そおっすか?」
    「うん、前よりずっと優しくなった。学校楽しい?」
    「全部、千冬のおかげっす。本当に感謝しかなくて…」
    千冬に毛布を巻き付け背中におんぶするも体が熱過ぎて怖くなってしまう。
    失礼しますと先生に一礼し俺達は家路を急いだ。
    「ん…ゲホッ…ばじ…さ…」
    「んー?」
    「重く…ないっ…すか?」
    「ばーか…俺はそんな弱くねーよ」
    そう言うと千冬は良かった呟いた。
    そんな事より俺はお前の体温の方が心配だっつーの…。
    「余計な事考えてねーでもうすぐ着くぞ?鍵あっか?」
    「はい…みぎ…ポケット…っす」
    そう言い残すと力尽きたのかスヤスヤと寝息が聞こえ始めた。
    ポケットからペケJに似た猫のキーケースを取り出し鍵を開ける。
    部屋を進み千冬をそっとベッドに寝かせると顔色の悪さが際立って見える。
    「んぅ…ケホッケホ…ゴホッ…」
    気持ち良く眠れている様にはとても見えなくて少しでも千冬を楽にしてあげたいと思いタオルを冷やして額に乗せた。
    ただそれだけなのに千冬は幸せそうに微笑んだ。
    「起きたか…?」
    「はい…ゲホッ…」
    「あんま寝れねーな…」
    頭を撫でると返事をする様に頭をスリスリ寄せて来る。
    確かペケJもこんな仕草してたなって少し笑えてくる。
    飼い主に似るのか飼い主が似るのか本当分かんねーな…。
    しばらく頭を撫でているとまた寝息を立て始めた千冬。
    「ちょっとさ…俺も眠たくなったワ…」
    疲れていたのかいつの間にか俺も千冬を抱きしめる様に眠ってしまった。

    「けい…く…けい…すけ…くん!」
    どこからか名前を呼ばれた様な気がしてハッと飛び起きた。
    「圭介くん、千冬看ててくれてありがとうね」
    名前を呼んだのは千冬のお袋さんで看病に来てた筈なのにやらかしてしまったらしい…
    「すみません…俺、寝てしまって」
    「良いの良いの!千冬運んでくれたんでしょ?本当ありがとうね」
    「千冬は…?」
    「大丈夫。ちゃんと私が病院連れてくわ」
    隣の千冬を見るとやっぱり顔色は良くなくてかなり熱も高そうだ。
    「じゃあ俺、帰りますね?」
    「色々ありがとうね。私も先に車出してくるわ」
    もう一度、挨拶をして立ち上がろうとした時キュッと何かが俺の服の裾を掴んだ。
    掴んだのは間違いなく千冬の手だった。
    「うぅ…いかないで…」
    「千冬?病院行って元気になってまたペヤング食おうな」
    「いやぁ…さび…し…グズッ…」
    小動物みたいな潤んだ瞳に見詰められると弱い自分がいることに気付く。
    「じゃあ…お袋さん戻って来るまでこうやってギュッとしててやる」
    布団から伸びる弱々腕を拾って千冬の体をゆっくり起こす。
    千冬は体を起こした反動からか激しく咳き込んでしまった。
    「急に起こしたからな…」
    「んんっ…ゲホッゲホッ…ゴホッ…」
    「止まらねーな…」
    「ばじ…さ…ゲホッ…」
    「ん…?」
    苦しさからなのか不安からなのか俺の体を強い力でギュッと抱きしめる。
    そんな震える子猫の様な千冬を宥める様に大丈夫、大丈夫とただ声を掛け続けた。

    後日

    「千冬ぅ?病み上がり何だからあんま、無理すんなよ」
    俺達壱番隊は族から奇襲を仕掛けられた為喧嘩に乗ってやった。
    千冬の復帰戦だ。
    「うっす!」
    「大将首取ったー!!」
    「おっとあぶねーな…」
    「テメェこの野郎…場地さんを狙う何ぞ100年はえーんだよ!」
    「千冬!あんま熱くなんなって…」
    「裸ににひん剥いてバチボコにしてやんぞボケェ!!」
    あの日俺が見たのは千冬は確かに小動物みたいだったのにどうにもサッカクに陥ってみたいで笑えてくる。
    俺の目が可笑しいのか…?。
    「ふっ…おーし!千冬ぅ?それ片付けたらコンビニ寄って帰えんぞー」
    「うっす!場地さん、もうすぐ終わりますから!」  
    返り血を浴びながら笑う千冬。
    どうやら俺は一つ大きな勘違いをしていたらしい。
    そうだった、お前はゴリゴリのヤンキーだったな。
    まぁ?俺の大好きな千冬には変わりねーんだけど…。
    「場地さん!こっち終わりました!!」
    「おぅ、血洗って帰んぞ?」
    今はこの勘違いも愛おしい、だからもっと大切にしたいと思ったんだ。
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