Code:Memory gearプロローグ
日の沈んだ暗い空に、キラキラと輝く光
それは月でも星でもない、ネオンの光
それを少年アーティは静かに見つめていた
あの光は自分には届くものではないと知りながら、それでもどこか諦めきれずにいる
アーティが住んでいるここはプログレッシオ
高度な技術が栄え、世界各国へと繋がる中心となる国
人類は度重なる文明の発達により、幾度も危機を乗り越え存続してきた
その中で、一部の人間は生まれながらにして特別な力を授かった
それがギフテッドである
ギフテッドの能力は様々で、それこそ魔法と言っても過言ではなかった
ギフテッドが生まれてからは、大幅に技術が発展してゆき、人々の間に格差が生まれるのも時間の問題であった
子が生まれ、能力はさらに便利に、より強く進化する
なんの能力も持たない人間とギフテッドの溝はさらに深まり、同じ国に所属していてもはっきりと住む区域などが別れたのだ
そうして今のような国が出来上がったのである
アーティはなんの能力も持たない、普通の人間として生まれた
生まれてから、このプレブスエリアを出ることもなく平穏に生きてきた
格差があるとはいえ虐げられるなんてことはなく、ただなんの変哲もない日常があるだけ
もちろんギフテッドに関わる事なんてもってのほかだった
アーティは幼い頃から、毎日のように国の中心にあるグローリアエリアを見上げていた
登ることは不可能な、高い障壁に囲まれた向こう
そんな向こう側への渇望が、彼の目には宿っていた
そんなアーティに転機は唐突に訪れる
それは偶然か必然か、はたまた神が糸をひいたのかは分からない
だが、きっとお互いが惹かれあうように出会ってしまった
ギア
その日少年は、運命を掴んだ