脇差とオムライス卵をたくさん、ご飯たくさん用意する。ツナ缶と、コーン缶、ケチャップ。今日の留守番ご飯はオムライス。
脇差連中は食う量がてんでばらばら。だから先に食える分だけ好きによそわせる。鯰尾、骨噛、浦島、堀川は少し多め、青江、籠手切は普通、肥前、千金丸は大盛り、物吉と泛塵は少なめに。
フライパンに油をしいてあっためてる間に卵の準備。基本一人分で二個使う。本丸にあるのは鶏小屋で取ってくるやつだから大きさが不揃いだが大体Mサイズとおんなじくらい。
米が多ければ卵は増やしてもいいと思うが、肥前も千金丸も固くなって少し破れた薄めのが好きだから増やさない。逆に物吉は白身がトロトロが好きだから二個使う。泛塵は固めの少ない米だから一個で十分。
それぞれよそった米と卵を並べておく。堀川がちょうどいい時になったら卵割ってくれるからそのまんまにしとく。フライパンがあったまったら米とツナ缶とコーン缶を入れる。実はこれも面倒で、コーン多め、ツナ少なめだのと好みがある。米を一緒にしていっぺんに作らないのはこれが理由。まあ、太刀の中にも肉は牛がいいだの、うずらが食いたいだの、精進料理しか食えないだので色々あるからもう慣れた問題。
ツナとコーンは先に水切ってあるから一気に入れてさっさと焼く。火加減は中火。俺は早く焼きたいから強火でもいいと思うが、焦げが心配ならこれで十分。ある程度混ざったらケチャップ。これはツナとコーンとおんなじだが、自分の好みに入れさせる。自分で入れれば好きな味になるからな。好きにさせてまた混ぜる。少ないと火の通りが早いから早めに保温なり火を消すなりしとく。別のフライパンを出してあっためておいた堀川が卵を混ぜてた。ちょうどいいタイミング。卵をフライパンに広げて少し待つ。火は弱火寄りの中火。焦げるとくっつくし美味くない。
外側が固まってきたら米を入れる。俺は横のがやりやすいから右側に入れてるけど自分でやるには上でも下でもいい。左利きなら左側でもな。焼けてきたら米の方を持ってひっくり返す。少し破けた。まあいいや。
端っこがトロトロがいいやつは米を端っこに入れない様に作るし、硬いのがいいやつは中まで火が通ってから米入れて端っこまで詰めてく。
いち、にい、さん...全員分ちゃんとできたかな。
浦島に言って出来たって伝える。浦島は自然に仲間と絡むからこういう時についつい頼る。兄貴らのこととかあるからこういうことが出来るんだろうな。後で酒でも差し入れようか。蜂須賀は下戸だからたまにはべろべろになって本音をぶちまけたらいい。きっと長曽根のことだから、相槌打って、でも考えを曲げることはしないだろう。でもたまに喧嘩ができたことを浅葱色の連中にうれしく話すだろう。最初から素直に腹割って話しておけばいいのに。
さあてと。脇差連中と俺しかいない昼ごはんにするとしよう。
「一個足りなくないですか?」
「あ?ちゃんと作ったぞ?ずお、ばみ、堀川、青江、泛塵、浦島、肥前、籠手切に、千金丸。」
「やだなあ。同田貫さんの分は?」
「あ」
「全員分作っていて自分の分忘れた?お母さんかよ。」
「めんどくせ〜後で食うからいいよ先に食ってて。」
「卵もご飯もあるんでしょう?もう一度作ったらどうですか?」
「もう洗っちまったしいいよ。ちいっと休んでからにするわ」
「じゃあ俺たちが作れば良いんじゃないですか?」
「でもお前ら火使えないだろ」
「どうぞ!鯰尾お手製の生オムライスですよ!」
「世間じゃそれを卵かけご飯て言うんだよ」
「騙されなかったー!!!」
ご馳走様!!!!!