ともしびを手に 2ならば早速ということで、昼餉で同じ卓についた江楓眠に江厭離が願い出ると、彼は鷹揚に頷いて宝物庫に入る許可を三人に与えた。
こうもすんなりと許可が与えられたのは、今日は朝からの用事があり、虞紫鳶が不在であった事がもっともの幸運だろう。
急ぎの仕事は無いからと江楓眠自身も三人に付き合い、四人は揃って宝物庫へと向かう。
江厭離が告げたとおり、外廷と内廷の境には宝物庫が一つあった。
法器を収める重要な倉なのになぜこんな場所にと魏無羨が問うと、怪異には法器が関わっていることが少なからずあり、この宝物庫はそうして押収した法器の中で、危険度が低い品の保管庫も兼ねていると江楓眠は応えた。
「最近は法器や呪符に随分と熱心だと聞いているから、ここの中の品なら持ち出してやれる物があるよ」
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