背景、親愛なる主 あるところに三条太刀が顕現しない本丸があった。
審神者は青年が二人。二人一組で片方が霊力持ち、もう片方がそれを行使する、という役割分担制の一風変わった本丸だった。
曰く、自分たちは双子なのだからこの形でしか運営できないのだという。それにしては全く似ても似つかない、真逆と言える二人の髪色の違いに周囲は首を傾げたが、異口同音に「二卵性だ」とハモられてしまえば、そういうものかと納得せざるをえなかった。片方は黒にも似た深い藍の、もう片方は白銀の髪をしていた。
本丸では、基本審神者の顔が他者に見えぬよう結界の織り込まれた霊布で伏せられていたが、他にも当人の名も伏せられている。だから“主”などという呼称が用いられるが、その該当者が二人いるのでは少々厄介だ。
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