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    310mushka

    表に出すにはあんまりなものですので。

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    310mushka

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    ねずやろ。普段一緒に寝ているくまのぬいぐるみと一緒に眠れないねと、なれないふとんでいっしょにねむるや。つきあっていない。

    「おれは普段くまのぬいぐるみと一緒に寝ているんですが」
    ジムリーダーの会合が夜更けまで続き、これから帰路に向かうのも難ですので。と、会長が気を使ってとってくれたシュートシティのホテルの廊下。隣あった部屋を案内されたネズとヤロー。部屋に入る直前に、ネズがぼそりとつぶやく。
    部屋に入ろうとしたヤローは、ネズが話し始めたので、ドアノブにかけた手はそのまま彼の方を向く。
    「今日はこのとおり急な外泊なので、あいにくと独り寝というわけです」
    ネズは自分が手にかけているドアノブをじっと見つめたまま続ける。
    「そうなんですね。普段と環境が違うと眠りづらいですよねぇ。僕もホテルの枕とベッドはふかふかしすぎてちょっと落ち着きませんわ」
     ちょっとした雑談だろう。ネズはヤローの方を見てはいないとはわかっているが、癖のように笑いかけながら話しかける。
     ネズはちらりと視線だけでヤローを見たあと、ドアノブにかけていた手を口元にやりながら思案する様子を見せる。その様子をみて、思わずヤローも佇まいを直す。しばらくの沈黙の後、ネズはなんでもないようにヤローに提案する。
    「今日は俺と一緒に眠りませんか」

     自身に割り当てられた部屋のシャワールームを使ったあとにネズの部屋のドアをノックすると、「どうぞ、おはいりなさい」とドア越しに部屋に招かれる。「おじゃまします」と言いながら入った部屋はベッドライトの明かりのみで薄暗い。ネズはベッドの上ですっかり寝支度を終え、ヤローがベッドに入りやすいよう、毛布の片側をめくり手招きしている。
     促されるままにベッドに潜り込むと、ネズは何も言わずにヤローを自分の肩口に寄せ、丁度良い位置取りをさがすようにヤローの頭や肩を抱えこみ顔を擦り寄せる。その様子は小さいこどもがぬいぐるみに懐くかのようで少し可笑しい。ヤローは無体だなぁ、と思いつつも、自分の体をネズの好きにさせている。
    「これ、僕はぬいぐるみの代わりですかねぇ」
    くふくふ笑いながら話しかけると、ネズは抱え込んだ腕に力をこめてヤローをぎゅうっと抱きしめる。
    「そうですね、すみません。落ち着くんで」
    目を閉じながらささやくネズの顔は安らかで、いつも引き結ばれている口元も緩みきって微かに開いている。
     普段見たことのないネズの表情に、それならまぁ、いいかなぁ、とヤローは思い、「それじゃぁおやすみなさい」と声をかけて目を閉じた。
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