願わくば、同じ夢を「はあー……、なんでこう人ってのは偉くなると事務仕事が増えるんだろうな。おかげで夜中までかかったじゃねーか……。団長も人遣いが荒いもんだ」
聖火騎士団の次期団長と名高い青年——ヒューゴは、団長からの騎士団の配備に関する伝令を司祭に伝えるため、フレイムグレースにある教会関係者向けの宿舎を歩いていた。夜の深まりに時刻は日付をとうに過ぎ、あたりは人の気配も無く、静寂に包まれている。廊下を照らすのは月明かりだけだった。明日も朝早くから部下の訓練をしなきゃいけない、そんな事を考えながら歩いていると、廊下の奥にゆらゆらとした人影が見えた。こんな時刻に人が出歩くのは珍しく、侵入者かもしれないと相手を注視する。その特徴は——長い銀髪、薄手の白いローブ、白い肌……そして、澄んだ青色の瞳。
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