【シユシキ 文】睡眠が苦手なシキのはなし(駄文ののみ) シキさんは睡眠がなかなかうまくとれない。
日頃不眠気味なのに加えて、夢遊病に、スケート練習に睡眠を削るなんてこともよくある。
シキさんの夢遊病や不眠を診てくれている先生からは、
「ヤッて寝かしつけろ」
なんてド直球なことを言われたりもしたけども。
その……体力も、削られてしまうし……
可能な限り大切に、そういうことはしたい……なんて……。
できればそれは最終手段にしたいな、と思ってる。
そんなこんなで今回も眠れない日が続いてしまい、昨日からシキさんは寝込んでしまった。
寝込む、というよりも起きなくなると言った方が正しいかもしれない。
眠れない日が続いたり、ストレスが溜まりすぎたりすると、最大3日ほど昏昏と眠り続けてしまう。
眠り続けるとはいっても、時折起き上がって歩き回ったり、パンや光球を口にしたりするのでずっと寝たきりという訳ではないのだけど。それでも意識は無い様子で、完全に覚醒した後にこの期間のことを聞いてもシキさんは全く覚えていない。
すやすやとベッドの上で眠るシキさん。
眠っている時も可愛いけど。だけどやっぱり目が合って、言葉を交わせないのは寂しいなあ。
サラサラの前髪を掻き分けておでこを撫でる。
「たくさん寝てね」
すうすうと寝息をたてて布団の中にすっぽりと収まっているシキさんをみて思わず頬が緩んでしまう。
もう少し見ていたいけども、今日は朝の手紙の配達がある。 ぶつかりそうな危険なものは片付けたし、夢遊で出てしまわないように外鍵もつける。
器用なもので、歩き回っていてもほとんど自分でベッドに戻って寝てくれるので、あまり心配はないんだけど。やっぱり不安なものは不安なので、今日は直ぐに戻ろう。
早朝に配達に出かけて、直ぐに終わらせれば朝のうちに戻ってこられる。そう思って直ぐに配達に出かけた。
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思ったより配達はスムーズに終わり、直ぐに帰ってくることが出来た。 早く会いたい一心で鍵を開け、中に入ると入口付近になぜか僕のケープが。
ケープ?
歩いたときに引っ掛かっちゃった??
転んでないといいけど……!!
転んで怪我でもしていたら……!!
落ちていたケープを拾い、慌ててシキさんが寝ているベッドにいくと、ベッドの上ですやすや眠るシキさん。出かけた時と少し位置こそ違うけど、怪我もないし変わった様子もない。
ほっと、一安心すると
とあるものが目に入り、硬直する。
すやすやと眠るシキさんが抱えるようにぎゅっと握りしめている布。掛け布団かと思ったけど、
それ、僕のケープ……。
一気に頭まで沸騰するような感覚を覚える。
ただでさえ可愛くて仕方がない恋人が、自分の私物を抱いて眠っている。この光景に目がクラクラするほどの尊さが襲う。
僕のケープ抱き締めているの!?
もしかして無意識に、僕を探して、代わりにケープを……だなんて都合のいい妄想かもしれないけど……!!!!
ただでさえ、睡眠不足、ストレスで不安定な状態で。
寂しかったのかもしれない……。
普段気持ちを上手に表現できないシキさん。いつでもうんと甘えさせてあげたい。
「ごめんねぇ、シキさん。ただいま」
シキさんの隣に寝転んで、語りかける。
そのままぎゅっと抱きしめると、ほんのりシキさんの表情が綻び、ケープを手放してこちらに顔を埋めてくれた。
うう、可愛い。KAWAII。シキさんの可愛さで平和になってしまう。
思わず叫び出しそうになる衝動を胸の奥に抑えこみ、シキさんの背中をさする。
どうか良い夢を見られますように。