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    uMUST_raimu

    支部に置かない系

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    『茅島氏の優雅な生活』パロ

    転生貴族のススメる優雅なる生活タイトル:転生貴族のススメる優雅なる生活
    舞台:現代日本。登場人物は基本的に日本人。

    リゼル…今世の名前はリゼルではない。両親は事故で死去。一人称視点での地文での呼び名を「リゼル」他称は「旦那様」「ご当主様」「坊ちゃま」「ご主人様」等。由緒ある家系のご子息。遡って行けば華族の血筋。何にもしなくても生きていける。物語冒頭で休暇世界の記憶がよみがえった。結婚や子供については従兄弟がいてそろそろ結婚するので自分に子供が出来なきゃそっちに丸投げしよーと思っている。
    敷地内に大きな書庫があるが敷地外にも点在しているらしくジルは「国会図書館かよ」と内心思っている。紙と電子を同時に所持するタイプで、読む時は紙派だけれども手元にない時は電子も活用する。
    髪色…色素の薄い茶。
    瞳の色…曾祖母あたりで混じった異国の血による隔世遺伝で紫。


    陛下…今世の名前は呼ばない。由緒ある家系のご子息。遡っていくと皇族に当たる血筋。現在は無関係。両親は健在。次男なので家を出て自由気ままにお仕事や遊びをしている。早い段階から休暇世界の記憶を取り戻している。記憶の戻ったリゼルの事を「リズ」と呼ぶ。
    髪色…黒髪を銀髪に染めている。しょっちゅう色は変える。
    瞳の色…黒目。カラコンをする趣味は無い。


    お兄様…執事兼秘書。リゼルの事を「旦那様」と呼ぶ。両親の死後リゼルがどこからか(系列会社)ヘッドハンティングして来た。リゼルが滅茶苦茶信頼して色々頼るのでジルがたまに嫉妬する。なのでリゼルによって当て馬にされたりもする。リゼルに抱けと言われたら抱けるけど奪う気は無い。リゼルが幸せなら何でもOK。
    リゼルからは記憶が戻る前から「兄様」と呼ばれていて「なんだろう?」と思っているけど好きにさせている。極力人前では止めるようにと困った顔で注意はするが、咎められる立場の人間も周囲にいないのでリゼルに聞き流される。
    髪色…一度も染めた事のない黒髪。
    瞳の色…黒目。


    ジル…最近雇った庭師。リゼルの邸の広大な庭を好き勝手して良いという事で面白そうだと雇われた。怪力。痴情のもつれ系でよくもめて(上司の奥さんに惚れられたり、同僚♂に惚れられたり)職場を転々としていた。休暇世界の記憶はない。
    仕事モードの時はリゼルを「旦那様」と呼び、プライベートでは「お前」「おい」などと呼ぶ。ゆくゆくはリゼルと呼んで欲しいと言われる事もあるかもしれないが、読者が呼んでいる所を見る事など無い。
    お兄様から「貴方」と呼ばれる。リゼルからは基本は「君」「ジル」と呼ばれる。「俺をジルって呼ぶがそれは何だ?」「ジルはジルですから」なんてやり取りがある。いずれ「私の光」って意味だと誰かから教わる日もあるかもしれないが知らん。
    最終話で記憶を取り戻して寝起きに「…リ…」とか言って終わる。きっとそう。
    リゼルに黒が似合うと言われてからクローゼットに黒い服が増えた。
    髪色…黒髪。
    瞳の色…黒目。


    イレヴン…お付き合いして順調に関係を深めるとリゼルがどこからか拾ってくる事になる悪ガキ(4歳)とっても綺麗な赤毛なので外国の血が入っている。
    「本人が望むなら養子にして継がせますけど、嫌がりそうですね」がリゼル談。一刀子育てがんばれ。
    記憶無し。リゼルさんが大好き。ジルの事もなんだかんだ好きだけどツンデレ。
    リゼルと出会った時に遊んだ戦隊ごっこの名残で「イレヴン」と呼ばれているしリゼルを「リーダー」と呼ぶ。ジルの事は「ニイサン」
    髪色…赤毛。
    瞳の色…光の加減で赤にも見える茶。


    ■■序章■■

    リゼルは寝台に身体を起こし、目覚めと同時にまた別の目覚めを感じてついと視線を窓の方向に投げた。
    差し込む日差しに薄明るく浮かび上がる室内の景色は、見慣れた自室であると理解しているのに、まったく初めて目にしたかのように新鮮でもある。
    目が覚めた、と理解すると同時にコツリと控えめに叩かれる扉。
    自分の目覚めの気配に、扉の向こうで控えていた人物が入室の許可を求めている。
    「入れ」
    身に染みついた応えは思考する間もなく口から出たが、耳から入る音は、はて自分はこんな声だったろうか?と僅かな違和感をもたらした。
    「失礼します」
    控えめに入室した男の姿にパチリと瞬く。
    10年ほど前に見つけ、気に入って雇った秘書兼執事のこの男は、かつて白い軍服を纏って自分の身近にいたあの男ではないだろうか。
    (かつて、とは?)
    カチャカチャと用意されていく朝食の気配には目もくれず、先程から付き纏う『目覚め』に思考を潜らせる。
    寝起きに混乱した頭を一つずつ整理していく。
    優秀な男は考え込む自分の思考を邪魔したりはせず、つつがなく寝台の上を整えて静かに部屋を出て行った。
    思考の海に落ちつつも、ふと、最近の習慣に身体を導かれて寝台を降りる。
    降ろされたカーテンを開けて庭を見下ろせば、黒い頭が荷物片手に横切っていく。
    「ジル」
    口から出た言葉にすとんと全てが繋がった。
    どうやら自分は生まれ変わったらしい。
    見下ろす先にいるのはここ最近自分がずっと気になっていた庭師。
    ふふ、と苦笑にも似た声が漏れる。
    どうやら自分は記憶がなくともお気に入りを集めていたようだ。
    彼が気になる
    その感情の種類は今の今まで理解していなかったが、思い出してしまえば明白だ。

    恋をしている――

    今度は口説くのにどれだけ時間が必要だろう?
    口の端に滲んだ苦笑を愉悦の笑みに変えてクルリと振り返る。
    「まずは朝食ですね」
    腹が減っては戦は出来ぬと先人は言っているのだから。



    ■■陛下と■■

    朝食を食べ終えたリゼルは秘書に言います。
    「至急アポを取って下さい」
    そうしてすぐに応じてくれた相手に会いに行くリゼル。
    そこに待っていた人物にほわりと笑んで当たり前のように呼び掛ける。
    「陛下」
    「ようリズ。寝坊助だな?」
    にやりと笑うその男は呼び方一つで全てを察して「遅い」と咎めてみせた。
    「申し訳ありません。陛下はいつから?」
    「ずっと前だ」
    ずっととは?と思ったが言うつもりはないらしい様子に深く突っ込むことはしない
    「俺は、何をすれば良いのでしょう」
    「休暇だろ?」
    「え」
    「前のお前もそのつもりだっただろ?この世界で俺たちはもうやるべき事が無い」
    封建制度の崩壊したこの世界では貴族などと血に縛られた制約もないし、先祖代々が築き上げた資産は優秀な代理の者たちがせっせと運用し莫大な資産を産んでは減らしまた増やしと、地球が滅びでもしない限りは揺るがない地盤を築いてくれている。
    「俺は暇だから遊んでるけどな」
    暇つぶしと称してこの男が指先一つで動かす金額は国家予算規模だ。
    「また王にでもなるおつもりですか?」
    「もうやらねぇよ、あんな事」
    嫌そうな顔をしてみせるが、その奥に隠れたほんの少し寂し気な色を目ざとく見つけて、この方を唯一の主だと戴いた日々の僥倖に目を伏せる。
    「お前も好きにしろ」
    やりたいように生きろ。
    「良いのでしょうか?」
    「俺らに文句を言える奴がいるのか?」
    「そう言えばそうですね」
    やりたい事はわかっているし、こう言われる事もわかっていた。ただ確認がしたかった。
    前世も今世もこの方のためならば何でもできる。それは記憶が戻る前も今も変わらない。
    だからこそ、言葉にしてもらわなければ進めない。
    「満足したか?」
    「ええ、とっても」



    ■■ジルと■■

    ここ最近しっかり把握していた男の行動範囲に真っ直ぐ向かえば、ほどなく長身の黒い人影を見つけた。
    男を勧誘した時に手に入れた情報で彼の名前は脳裏に焼き付けてある。
    呼べば振り返って、意外そうに眼を見開いた後軽く頭を下げられた。
    「旦那様」
    そのかしこまった物言いの似合わなさにふふと笑みが漏れる。
    伏せられた視界の端に爪先が入るまで近づけば顔を上げた男が気圧されたように顎を引いた。
    「俺と、お付き合いして下さい」
    「どちらへ?」
    「ああ、違います。いわゆる男女的なものです」
    「…、…?」
    言っている意味をはかりかねると首を傾け眉を寄せる男に、もう一歩近づく。
    「君の事が好きなので、恋愛がしたいと言っています」
    「はあ?」
    懐かしい柄の悪さで、胡乱げに顔をしかめられた。
    「まずは、セックスしましょう」
    「それは命令ですか」
    「そんな事をしたらセクハラで訴えられます」
    「今も十分セクハラです」
    「口説くのがセクハラに当たるなら何も出来ません」
    「アンタは口説くのにいきなりセックスしようって言うのか」
    動揺の所為か口調が素になっているのが微笑ましい。
    「君は恋愛よりもこういう方がお好みでしょうから」
    「…否定はしませんが、雇い主はお断りです」
    「口調は崩して構いませんよ」
    「……断る。遊びなら他所を当たれ」
    「生憎本気なので他所を当たる気はありません」
    苦虫を嚙み潰したように顔を逸らされ、今回はこのくらいが潮時だろうと身を引いた。
    「すぐに口説けるとは思っていません。意識してもらえば十分なので」
    また来ます


    ■■日が経って■■

    季節が春から秋に変わっている。
    「ジル」
    「また来たのか」
    何度も顔を出すうちに周囲に人がいない状況なら最初から崩した口調で話してくれるようになった男。
    「はい。お邪魔します」
    「お邪魔ですので帰って下さい」
    「そう言わずに」
    軽口も言い合える関係になった。
    「今日は泊って行きませんか?」
    休日の前日以外泊まるのを拒否する男を週の半ばに誘ってみる。
    「断る」
    「週1は少ないと聞きました」
    「誰に」
    「秘密は恋する相手の魅力を増してくれるんだそうですよ」
    「恋してない」
    身体を交わす関係にはなれたが、恋人にはしてくれない。
    もうすっかり堕ちているはずなのに、譲れないものがあるようだ。
    「ここから出勤するのが嫌なら君の家に泊めてくれても良いんですよ」
    「駄目だ」
    初めてを失敗したと思っているらしい男は、あれ以来自分を彼の家に入れてくれなくなった。
    その言い訳が「ここから出勤すると関係がバレるから」だ。もう知らない人間などいないだろうに。
    「そうやってツレなくしてると、そのうち浮気しますよ」
    「へぇ、あの秘書と?」
    「いいですね。兄様ならきっと優しくしてくれるはずです」
    ゆらりと瞳の奥に嫉妬の炎が揺れる。
    その身の内の情熱を吹き込むべく唇を塞がれて、逆巻く熱に熱い吐息が漏れた。
    たっぷり時間をかけてわからされた身体が情欲の火に炙られて息苦しい。
    「やっぱり泊って行きません?」
    「断る」



    ■■■ジル視点回想■■■

    色気を頬に乗せて、やっぱりツレないとプリプリ帰って行った背を見送り、あの夜は失敗だったと俺は溜息を吐いた。


    何度も顔を出すうちに周囲に人がいない状況なら最初から崩した口調で話すようになった。
    時折「そろそろ俺とセックスする気になりませんか?」などと発言しジルに拒否られるリゼル。
    ある晩、そういう目的で夜の街に出かけて行ったジルを追いかけてきたリゼルが、たちの悪い男に絡まれてしまいジルの怒りを買う。
    「そんなに抱かれたいなら抱いてやる」
    ジルはリゼルを自分の家に連れ帰って寝台に押し倒す。
    雇い主にモーションをかけられて仕事を失う経験は少なからずあるので嫌悪する気持ち
    現在のリゼルの邸の庭の管理が気に入っているので失いたくない気持ち
    らしくもなくリゼルに惹かれている気持ち
    とはいえ、そもそも立場的にいずれリゼルは結婚して子供を設けるだろうと思っているので、ただの遊びに巻き込まれる不愉快さ
    本気になって傷付くのは自分で、なのに易々と入って来てかき乱される苛立ち
    で、フラストレーション爆発したジルが「いっそ嫌われてしまいたい」と手酷く抱く。
    事後、リゼルさんの身体には噛み痕と腰や腕に強く掴んだ鬱血痕、秘部からは血の混じった白濁。
    で、気絶してたリゼルさんが目覚めると、横でタバコを吸っているジルを見つけて、表情を無くすリゼルさん。
    「帰ります」と俯き呟くとベッドから降り、ドタリと床に崩れ落ちる。しかし、這ってでも玄関へと向かおうとするリゼルにジルが慌てて追いすがる。
    後始末をしなければ体調を崩す。立てはしないようだから車を呼ぶ。
    抱き起こせば触るなと首を振って拒絶され、狙っていたとはいえひっそり傷付くジル。
    なんとか宥めて秘書に電話して車を呼び、車が来るまでにと濡れたタオルで身体を拭いて服を着せてやれば
    されるがままだったリゼルの頬からほとりと一粒涙が落ちる。
    「どうでも良いなら優しくしないで欲しい」
    「ひどくした覚えしかない」
    「いいえ…俺はひどい事はされていません」
    でも君は俺に関心が無い
    否定も肯定も出来ないジルを置いてリゼルはジルの家を出る。
    苦い気持ちがなんとなく飲み下せないジル。
    「クビだろうな」


    いつも視界の端でちょろちょろしていたリゼルが現れないし、顔も出さない。
    秘書に聞けば体調を崩してるらしい。
    「俺をクビにしないのか?」
    「決めるのはあの方で私ではない」

    1週間ほど経ったあたりから視界の端にまたちょろちょろリゼルが現れるようになった。
    あれでこっそり見ているつもりらしい。実は話し掛けられる以前からリゼルの覗きは気づいていたジルであった。
    しかし、訪ねては来ない。
    嫌われたのかと思うが覗きは続くしクビの通達も来ない。
    焦れてきたジルはある日東屋で読書中にうたた寝してしまったリゼルを見つける。通常ならそっと避けて別の作業に移動するがその日ジルはリゼルに話しかけた。
    「おい」
    「…はい?」
    邸内で不躾に起こされるなど初めてだろうリゼルが訝しげに目を開ける。
    自分の姿にパチリと瞬いた瞳が驚きに見開かれた。
    「なんでクビにしない」
    「?理由がありません」
    「あるだろうが」
    「抱いてほしいと言ったのは俺ですよ」
    お忘れですか?
    確かにそうだがあれは違うだろう。
    「あんなのはただの暴力だ」
    「君の方が傷付いてしまってますね。気にしてないと言っても信じてくれなそうです」
    「…来ないだろ」
    会いに来なくなった
    「会いたかったんですか?」
    その言葉に、違うと言い返しかけた言葉を飲み込んで会いたかったという言葉を反芻する。
    じっくり考えるジルをリゼルは急かすでもなく見ていた。
    知らず詰めていた息をハァと吐き出して、リゼルの前の空いた席に脱力したように座るジル。
    「会いたかったんでしょう?」
    「…会いたかった」
    ふふふ、嬉しげに笑うリゼル。
    「お付き合いしてくれますか?」
    「断る」
    「会いたくて仕事も忘れるくらいなのに?」
    「……」
    「じゃあセックスしましょう」
    今度は君が納得いくよう優しくしてくださいね。
    断る、と…その言葉は出てこなかった。
    「お前、俺が好きなの」
    「そう言ってます」
    何を今更と愉快げに肩を揺らすリゼル。
    「好きですよ…、…」
    続いたのは彼が自分を呼ぶジルという呼称ではなく自分の名前。
    その瞬間愛おしさが溢れて口吻た。
    「お前、ジルって呼んどけ」
    「ジル」
    もう一回



    ■■■どっかに挿入するかも初夜リゼル視点

    しっかり体調を崩してしまい数日寝込んだリゼル。
    寝台で布団にくるまりながら動揺に拗ねてしまったと反省するリゼル。
    自分の前でタバコを吸うのを嫌ったあの頃のジルと今のジルが同じだとは言えないが、彼の人となりを知れば知るほどやはり魂を同じくする同一人物だと認識していたがゆえに、タバコを吸う男の姿に動揺した。
    手酷く抱かれた理由もわかるので、その辺りは些事である。なんなら前進していると考えて間違いない。
    ただタバコは、かつてあの男が自分に似合わないと目の前で吸うのを避けるようになった、あの頃を思い出して駄目だった。
    彼の自分に対する関心の薄さを見せつけられて傷ついた。
    拗ねて子供のように帰ると癇癪を起こしてしまったが、呆れられていないだろうか。
    一体どんな顔で次に会えば良いのだろう。
    前世今世含めて恋愛が初めてで勝手がわからない。
    かつても男と肉体関係はあったが恋愛的な意思の確認は出来なかった。
    そろそろ体調も元に戻っている。
    これ以上は周囲も別の病気を疑ってしまうだろう。
    そうしてリゼルはジルのもとに通えず、遠目に眺めて過ごすのだった。

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