お別れが近いファンシーラット👂殿と、猫の👀殿。 その日はよく覚えている。
野良猫のサダムネはうちで飼うようになってから一日たりとも室内パトロールを欠かさなかったのに、その日はスケフサの傍を最後まで離れなかった。窓際に敷かれた座布団の上で日向ぼっこをしながら、ほとんど眠っているようなスケフサを抱き込んで、時折話しかけるように鳴いてはスケフサの毛繕いをしていた。
自由にうちの中を行き来できるショウカンも、その日はサダムネとスケフサがいるリビングには近付かず、私の寝室で静かにしていた。
動物は不思議だ。彼らは人間に感じ取れない何かを本能的に理解しているように思えるときがある。
◆
ガラス越しに日光を浴びると、貞宗殿の目玉がビー玉のように透けて見える。光の加減によって色の濃淡が変わる貞宗殿の大きな目が、俺は一等好きだ。吸い込まれそうなその眼球に底知れぬ恐怖を感じて、より美しさを際立たせる。俺の目が色を識別できていれば、本当に吸い込まれてしまったかもしれない。
2428