イブフキss2 日差しが暖かい休日の午後、来客を知らせるドアベルに従って扉を開けた先に立っていた人物の姿格好を見れば、何の目的でここに来たのかすぐに分かった。
「突然の訪問ですみません。イブ博士のご自宅はこちらでよろしいでしょうか?」
「申し訳ありませんが、イブは留守にしております」
如何にも学者然とした様相のその客に恐らく聞きたいことはこれだろうと検討を付けて返事をすれば、僅かな期待を浮かべていた表情はたちまち絶望へと塗り替えられた。
「それではいつ戻られるかとかは……」
「分かることなら私が1番に知りたい事ですね」
ますます悲壮感を漂わせるその姿に罪悪感すら湧くが、私も知らないものは教えられない。唯一確実にイブさんが帰ってくる日はあるが、その日は私の為だけの1日なのでそれを教えるつもりはないし……。
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