love egg「よもや!また来たのか君!」
「お邪魔してマス」
世間は(日本ではね)ゴールデンなウィークで。新年度の講義が始まるぎりぎりまで杏寿郎さんのもとで春休みを過ごした俺は、流石に休暇が終われば帰国せざるを得ず、内心泣く泣く彼の元を離れた。少ししてやって来た5月の大型連休に今までこんなに感謝したことはない。お陰でまたここへ来られたのだ。この、恋人ながら未だに全てをくれない、意地悪くも強烈な魅力で俺を掴んで離さない年上のひとの元へ。
春休み終了から一ヶ月足らず。先の滞在でバイトで稼いだ貯蓄をだいぶ減らしてしまった俺は、またバイトと講義の日々に明け暮れた。そのため過去にたまに助っ人で顔を出していたバスケのサークルの試合の誘いも、仲が良いゼミの奴らからの飲みの誘いも全て断っていた結果、最近宇髄が付き合い悪いという評価を受けたが、今の俺には友人たちの付き合いよりももっと、ずっと、最優先事項があったのだからそんなことは歯牙にもかけなかった。今まで人並みの交友関係を保ってきた自分がガラっと一転してしまうくらい、それくらい、自分の人生において杏寿郎さんは正に目の前に落ちた雷鎚の如き、そんな存在だったから。
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