求愛給餌(アルカヴェ鳥パロ①)強い力を持った生き物は、人語を理解するだけでなく、元素力を扱い姿形を変える力を持つ。
同族からの羨望と嫉妬、そして求婚に疲れ果てたカーヴェは、空を捨て、ヒトとして生きることを選んだ。自慢の極彩色の羽はもう日の目を浴びることは無いけれど、自由気ままな生活は幸せなものである。
何より、建築家という人間としての職業は、己の生を費やすに値する。元より巣作りには拘りがあり、その情熱がそのまま人の住まう空間の設計へシフトしたのかもしれない。新しい姿、新しい職業、カーヴェは言葉の通り「人生」を始めた。
「何か、当たった……?」
それは人間としての生活にもすっかり慣れ切った頃のこと。土砂降りの雨音に交じって、ガツン、という鈍い音が響いた。
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