くくタカペーパー春コミペーパー
笛と太鼓の音が聞こえる。
初めて来た街をふらふらと散策していると、大通りの奥から微かにお囃子が聞こえてきた。その音につられて、音のする方に歩いていくと、小さな神社が見えた。小高い丘の上に鳥居とお社がある。石畳の階段を昇って行くと、小さな社のわりには大きな境内があって、沢山の人がいた。人垣の真ん中で色鮮やかな衣装をまとった獅子舞が舞っていた。
赤い顔をして、歯をかたかたと慣らしては見物人の頭を噛んでいく。その度に歓声が上がり、獅子舞はまたひらりひらりと舞った。
「へぇ…」
お囃子の音にまぎれて、昔の記憶が甦って来る。
あの時は、大好きな人と一緒だった。学校のお使いの後にたまたま寄った村でやっていた小さな祭り。今聞こえているお囃子とは全く違う笛の音が頭の中に響いた。
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